2020年1月15日

カワタ
新春トップインタビュー

“いい会社”で企業発展を
求められる企業として変革果たす

【社長に就任してから一年間が経過しましたが】
経営のバトンタッチは一段落した感があり、創業以来の精神などを盛り込んだ経営理念の下で、これからも従業員の自主性と働きがいを重視し、会社を持続的に成長させていきたいと考えている。東証第1部の上場企業であり、パブリックカンパニーとしての責任を担って経営に取り組んでいることから、トップが交代したからといって方針に大きな変化はない。

ただし、社内においてはパソコンやタブレットを用いた業務の進行が定着してきており、働き方の意識的な部分においては変化が生じてきているのではないかと思う。アットホームな職場の雰囲気に包まれながら、仕事においてはやる気をみなぎらせて業務に臨んでおり、従業員それぞれが高いモチベーションを持って、仕事に取り組む企業としての土台は整いつつあると感じている。

業績面を振り返ると、2020年度3月期の第2四半期末の時点から情勢に大きな変化はない。特に中国における景気停滞による影響は大きく、現地での設備投資なども減少しており、今後も不透明な状態は続くと見ている。米中貿易摩擦に端を発した景況感の落ち込みは、一般産業分野や土木・建設用機械業界に打撃を与えているのは確かながら、全般的にはそれほど深刻にはとらえていない。むしろ、受注に生産が追い付かなかった昨年の好調な印象が強く残っており、冷静に見渡すと市況は通常ベースにて推移している。

【今後の企業としての新たな取り組みは】
「SDGs」(国連サミットで採択された持続可能な開発のためのアジェンダ)、「ESG」(エンバイロメント=環境、ソシアル=社会、ガバメント=企業統治の頭文字で、企業の持続的成長の土台となる物差し)に向けての取り組みを強調し、具体的な手法について今後強化していきたい。

最も力を注ぐ内容としては、環境面にあると考えており、廃棄物やCO2の削減、リサイクルに向けての取り組みに向けて積極的に携わっていく。海洋プラスチック汚染の解消にもつながるバイオマス樹脂、生分解性プラスチックからのニーズについては、当社が現在ラインアップしている機種のスペックによって、十分に対応していくことができる。しかしながら、開発や進化が世界規模で進められている次世代のバイオプラスチックなどといった環境対応製品に関しては、これまでにない物性を備えた開発品による、全く新しいニーズの浮上という局面も念頭に置いておく必要がある。成型分野における温度管理なども、より一層シビアになる可能性もあり、新しい領域のプラスチックに対しては、素材メーカーとの連携や日本バイオプラスチック協会(JBPA)に加入するなど、成型現場の周辺機器を手掛けるメーカーとして、常にアンテナを張り巡らせて情報を敏感に察知しながら、新たに浮上したニーズに対しては、迅速にこたえる体制の構築と技術力の向上に向けて力を注いでいる。

【今後の課題と強みを挙げるとすれば】
従来の企業活動の目標としては、これまで一般的には収益を第一に考えられてきたが、最近ではその目標と同時に環境面に配慮したモノづくり、従業員の健全な働き方の推進など、健全な体質を備え、社会への貢献度の高さによって今後の活躍と発展が許される。当社は創業から84年の年月を数えるが、その歴史を支えてきた諸先輩方の伝統を守り、企業の運営を司る土台づくりや人材育成、モノづくりの姿勢などといった要素を10年先、20年先へと引き継ぎながら、次の新たな時代によって求められる企業としての変革を果たす。

当社の強みを挙げるとすれば〝現場力〟であり、それを下支えしている要素として、高いスキルを備えた営業、サービス、技術力といった3つの企業の優位性が有効に機能している。特に技術面は重要で、企業が今後の長い歴史に向けて、変革を遂げながら持続的な成長を遂げていくためには、技能の伝承という大切な条件が果たされなければならない。

熟練者の技能を次の世代を担う人材に伝える手法については、メーカーにとっての永遠のテーマであり、当社としては部署ごとの各管理職が中心となって、この遂行に取り組んでいる。周囲の環境が整ったとしても、技能の伝承は人材ごとのキャパシティーに依存する部分も大きく、それを引き出すためのモチベーションを高める取り組みに関しても、トップ自らが先頭に立って積極的に行っている。

【設備投資の計画について】
ベトナムに販売子会社を新設することとし、今年の1月には現地事務所を格上げする。日系企業をはじめとする現地企業に対する対応の強化を図ることで、拡大している投資案件の取り込みに力を注ぐ。また、〝チャレンジCES(価格=コスト、省エネ=エネルギー、省スペース化=スペース)〟に基づいた生産効率向上や環境関連項目に経営資源を投入していくほか、自動車分野では通信面、先進技術であるAI、IoT、5Gにおける技術革新・市場拡大においては、それに伴うプラスチック部品、粉体の高品質化・高機能化といったニーズを先読みした投資案件の実施により事業拡大への布石を打つ。

国内では物流業界における倉庫の自動化などといった省人化、省力化への取り組みが強化されていることから、その方向性に沿った次元での投資を考えている。

【貴社が描いている企業としての将来の絵姿とは】
株主や取引先、地域社会から〝いい会社〟と呼ばれながら企業の発展を遂げていきたい。ESGや環境対応、社会貢献、コーポレートガバナンスの強化などといった項目を実践しながら、業績面でも成果を上げることで、バランスのとれた成長を遂げていく。需要業界に対して製品・サービス面で貢献し、顧客が製造する製品を通じて、消費者の生活の豊かさや安全性を創出する。それによる収益の拡大を通じて地域をはじめとする社会への利益の還元を行い、社内では従業員が自主性とやりがいを持って働くことができる職場づくりにまい進する。こうした条件を満たしながら、会社を持続的に成長させることによって、いい会社として認められる将来像を思い描いており、これからもその目標を目指して頑張っていく。