2020年5月30日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】ニッタ
FDA対応ゴム製ベルト

FDA対応ゴム製ベルト
ベルトの搬送力UP

ニッタが手掛ける搬送用ベルト事業を取り巻く需要環境については、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、2020年3月期末までは、主だった業種においてのみ需要減退傾向が見られたものの、4月以降になってからは全体的な需要の衰えとなって影響を受けている。自動車の販売不振によって鉄鋼、部品産業などが低調に推移。同社ではこの状況について、直接的な影響として今後も続くとみている。工作機械をはじめとした投資の先送り感も強まっており、比較的安定していた物流や食品分野などについてもマイナス面の影響を懸念。海外工場の国内回帰による需要も見込めるが、直近のプラス要因としての期待値は低い。

現状でもスーパーやコンビニなどといった中食産業向けは上向いているものの、その一方で、学校の休校により給食産業は完全に沈黙。現場でのベルト取り付け工事の場面においても制限が課せられるなど、一概に食品需要が上昇基調をたどっているとは言えない。物流分野については、宅配個数の増加傾向は近年顕著であり、その傾向は続いているものの、その一方で自動車産業向けを中心とした工業用部品などの物流需要は減少。全体の消費の見通しは、景気の動向が握っている局面にある状況が色濃い。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、「FOOMA JAPAN2020大阪(国際食品工業展)」の中止が決まったが、主催者である日本食品機械工業会では、公式ウェブサイトにおいて出展を予定していた出展社の製品・サービスを紹介する企画を準備中。同社では、会場においてオーダーメードで特定ユーザーに提供していた特殊加工ならびに標準タイプをバージョンアップさせた新製品を展示し、来場者にソリューション提案などを行う予定で準備を進めてきた。同工業会が準備中のウェブ紹介では、それらを含めて出展を予定していた食品容器搬送用ベルト、食品搬送用トラフベルト、紙ストロー紙管巻きベルト、新型ベルト蛇行防止ガイド、ブルーカーブコンベヤ、高機能ベルト新製品、HACCPモニタリング製品、ISO法迅速検査試薬、ルミノメーターなど。見どころとして食品パッケージや、紙ストローなどの紙工製品の製造工程にグリップ力と耐久性を備えた合成ゴムを採用しているベルト。食の安全からFDA対応のゴム製のベルトを順次開発製品化。また味噌、醤油の蒸した大豆、米飯などの搬送や、ブロイラーの小バラシ工程の搬送用などのベルトの搬送力アップの高張力化製品。

新型コロナウイルスの感染拡大の終息後の状況の見通しは立たないものの、一部業界からの特別需要も予想され、そういった案件を取り逃さないように同社では着実に対処していく。物流などといった今後も伸びが期待できる業界と、内需型業界であり、比較的安定した分野に新製品を投入することで、既存の需要業界への深耕にも積極的に取り組んでいく。

今後に向けては、コロナ感染防止に向けた自粛の成り行き次第でもあり、業績に受ける影響は予測できない。仕事の内容も在宅勤務でこなす体制が一般的になりつつあるが、「ビジネスの形となって見えてきたのがお客様や社内業務の非接触型対応のあり方。マイナス面も大きいが、見方を変えれば、時間や経費の削減が可能な体制であり、お客様のお困り事を整理し、周辺営業ツールを整備しながら、フレキシブルな姿勢で今後の事業の成長に向けて取り組む」(同社)。