2020年8月20日

JSR
2021年3月期第1四半期決算 3事業で増収果たす

コロナで固定費予算策定

JSR(エリック・ジョンソンCEO)は7月30日、ウェブ会議を通じて決算説明会を行った。出席者は同社取締役の宮崎秀樹常務執行役員で、新型コロナが最も猛威を振るった20年の4-6月という、厳しい状況における決算概要を説明した。宮崎取締役によると、売上収益は前年同期比22・0%減の930億9400万円、営業利益は同77・1%減の23億5900万円、四半期利益は同84・5%減の11億2800万円となった。

同社では、前第4四半期連結会計期間よりリチウムイオンキャパシタ事業を非継続事業に分類、収益および損益はリチウムイオンキャパシタ事業を除く継続事業のみの金額を表示している。また本年4月1日にJMエナジーに対する支配を手放し、JMエナジーはJSRの持分法適用関連会社に分類。当第1四半期連結累計期間におけるJMエナジーの持分法による損益は、セグメント情報における「その他」の区分に含まれている。

セグメント別では、デジタルソリューション事業部門の売上収益は前年同期比0・8%増の363億4100万円、営業利益は同6・7%減の77億7700万円。ディスプレイ材料とエッジコンピューティング材料の販売数量が減少したが、半導体材料が販売数量を伸ばしたことにより売上収益は前年同期よりも伸ばした。営業利益はディスプレイ材料とエッジコンピューティング材料の販売数量の減少により、前年同期を若干下回った。

ライフサイエンス事業部門の売上収益は同2・4%増の126億600万円、営業利益は同28・3%減の8億2200万円。主にバイオ医薬品の開発・製造受託事業であるCDMO事業と医薬品の開発支援事業である、CRO事業の販売拡大により売上収益は前年同期を上回った。営業利益は売上収益の増加に伴う利益の伸びはあったものの、前年同期に発生した一時的収益の影響により、前年同期を下回った。

エラストマー事業部門の売上収益は同40・3%減の273億5500万円、営業損失は55億7200万円(前年同期は2億9400万円の利益)。新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要低迷によって、販売数量は前年同期から大幅に後退し、売上収益も前年同期を大幅に下回った。営業利益は、販売数量の大幅な落ち込みにより前年同の実績を下回った。

合成樹脂事業部門の売上収益は同34・7%減の162億600万円、営業利益は同74・6%減の5億円。新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要低迷により、販売数量は前年同期を大幅に下回り、売上収益も前年同期を大きく割り込んだ。営業利益は、販売数量の大幅な落ち込みによる影響を受けた。

通期については、本年4月27日公表の連結業績予想から変更はなく、売上収益4230億円、営業利益230億円、当期利益150億円を見込んでいる。販売減少リスクに対応しコスト抑制を計画に織り込んでおり、成長分野であるデジタルソリューション事業ならびにライフサイエンス事業については、中長期視点での能力増強を優先させていく方向性を前提としている。

COVID―19の影響については、特にエラストマーおよび合成樹脂セグメントにおいて、この第1四半期も大きな打撃を受けた。自動車関連需要の低迷により、それによる影響は当初想定よりも著しく顕著。概算でエラストマー事業では20%程度の影響を見込んでいたが実影響は40%にも及んだ。合成樹脂は20%を想定していたが実際は35%、半導体については影響を受けなかったが、ディスプレイは10%で予想通りの結果となった。コロナ影響下のコストマネジメントとしては、COVID―19の感染拡大に対応し、本年2月にBCP体制を発足。事業への影響を想定したコストマネジメントも開始し、約100億円の発生コスト減を反映した固定費予算を策定した。同時に、グローバルな生産、研究体制は安全に稼働を継続。今後、今第1四半期の状況に基づきさらなるコスト抑制を推進する。その一方で、成長事業への投資は優先していく。