2020年8月25日

【夏季トップインタビュー】ゲイツ・ユニッタ・アジア
宮本修二副社長 新しい時代の中で一層の発展を 

第3、4四半期での改善策模索

タイミングベルト・プーリーの専門メーカーとして、アジアの各地域において市場開拓、サービス体制の充実などといった取り組みを、適材適所に合わせながら躍動的に推進しているゲイツ・ユニッタ・アジア。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大といった、人間の力では回避不可能な厳しい災禍に見舞われながらも、直近までの収益の落ち込みはわずかなレベルに押しとどめた。企業としてのポテンシャル、危機管理能力のレベルを問われた局面であったものの、見事に乗り切ることで以降の展開につなげた。世界的に経済が暗たんたる空気に包まれる中で、国境をまたいで事業を展開する同社の宮本修二副社長に今後の展開について話を聞いた。

【現時点での事業環境と業績は】
今期(12月期)に入ってからはアジア全体が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けており、軒並み業績はダウンしている。中国に端を発した災禍は、東南アジアに拡大してからインドにまで広がった。ただし日本への影響は比較的穏やかで、落差も大きくはなかった。ただしアジア全体での新型コロナウイルス感染拡大の影響は甚大で、全域の売上高で前期比約20%減と大きく落ち込んだ。その一方で利益面は約2%程度のダウンで押しとどめることができた。経費削減は当然のことながら、人間そのものの頑張りや、商品に対する利幅に向けた努力が功を奏した。

【国や地域セグメント別での詳細は】
輸出制限がかけられた韓国は上半期(1—6月)だけで、前年同期比で20%ものダウンに見舞われた。発端となった中国については1月と2月に影響を受けたが、それ以降は回復を遂げている。ただし乗用車の売れ行きは思わしくなく、その一方でトラックやバスが売れ行きを伸ばしている。マレーシア、シンガポール、ベトナムなどについては全く動く気配がなく、政府によって渡航制限がかけられており、入国すらできない状態になっている。インドにおいても広範囲にわたってロックダウンがかけられており、4割が動きを取れない状態に陥っている。

【下半期(7—12月)の展望は】
下半期の見通しは全く立たないが、上半期の状況を分析しながら、新型コロナウイルスによる災禍がいまだ収束に至っていない状況を想定した条件下において第3、第4四半期での改善策を模索している。ただし傾向としては、中国が回復の兆しを見せており、日本市場にも期待を寄せている。日本では、自動車よりもむしろ一般産業用機械のほか、半導体製造装置の活性化の見通しに回復の目を見いだしたい。インドは3月から5月にかけて順調に回復しており、下半期には巻き返しを図ることができると期待している。

【既存事業の進み具合について】
中国で、自動車用アフターマーケット市場の販売ネットワーク体制を確立し、事業として堅実に展開していたが、1—2月においては厳しい状況に置かれた。ただし3月から4月にかけて回復し、現在では調子を取り戻している。生産拠点に関しては、東南アジアの生産拠点としてタイに構えており、輸出によって東南アジア各国に対して製品の供給を行っているが、新型コロナウイルスによる影響は大きく、いまだにサプライチェーンマネジメントの回復のめどが立っていない。油中タイミングベルトの展開については、ヨーロッパにおいて、各国カーメーカーの進出企業の車種において採用の流れが始まっている。

【新たな取り組みについて】
これまで駆動系にチェーンを使っていた部分に対して、ベルト(ポリチェーン)への置き換えを進めているが、インドではスクーターでの採用が進んでいるほか、台湾やアジア全般にスクーターへのベルトへの置き換えが進みつつある。既にスノーモービルなどで使用されていたが、強度の向上やコスト的にも改善に向けてのテーマが残されている。こういった取り組みに対しては、ヒューマンパワーにかかる比重も大きく、導き出されたアイデアが問題解決に向けた有効な糸口となる場合もある。全社的に進めているⅤベルトの展開については、ハイパフォーマンスの上位クラスと価格重視のローコスト品、汎用品の3つのラインで展開しているが、日本市場においても、品質を求めて高機能品を求めるユーザーによる需要で市場開拓を図ることができると見込んでいる。

【今後のアジア市場に対して、期待をかける状況と見通しは】
やはり、市場のボリュームの大きな自動車分野の回復を望んでいる。それでも、排ガス規制の強化による規格の厳格化、EV化、ハイブリッド化の流れが進む状況にあって、着実に成長を遂げることのできる青写真を描くためには相当の努力を必要とする。一般産業向けについては、工作機械や繊維機械についても、ロボティックスや自動化の流れに乗って進化を遂げるだろう。われわれとしては、現在のコロナ禍を乗り切り、この新しい時代の流れの中で一層の発展を遂げていく。