2020年11月15日

朝日ラバー
シリコーンゴムの超親水性処理技術開発

独自の配合技術活用
埼玉工業大学とも共同で

通常のシリコーンゴムと親水化処理されたシリコーンゴム

朝日ラバー(渡邉陽一郎社長)は、独自の配合技術と表面改質およびマイクロ加工技術を生かして、シリコーンゴムに親水性に優れた処理を施す技術を開発した。

親水性とは、水をはじかない性質のことで、シリコーンゴムはその素材性質上、親水性が少なく、ゴムの表面に水分を接触させると水分の接触角が100度以上となる。物質の表面に水溶液をなじませて、その効果を付与させたい場合は通常、乾式処理、湿式処理、蒸着という方法が用いられるが、シリコーンゴムに対してはいずれの方法も親水効果が一過性であり、長期間親水性を保持することができなかった。

今回、同社が開発した親水化技術は、ゴムの表面に水分を接触させた場合の接触角が10度以下にすることが可能で、親水化効果を長期間保持できること、耐滅菌性があること、簡便なものづくりができることが特長として挙げられる。

親水化技術には、配合と表面処理の2つの方法があり、一つ目は配合による親水化処理で、シリコーンゴムに独自の配合技術により、親水化付与剤を配合させることで表面を親水化する。従来の配合技術では、最初ははっ水性を持っており徐々に親水化することしかできなかったが、同社技術ではすぐに親水化の効果を得ることができる。

二つ目の表面改質による親水化処理は、独自の配合技術による親水化の後、表面修飾剤を塗布する。配合による親水化処理より耐熱性に優れており、この表面修飾剤は、埼玉工業大学の田中教授との共同開発による新しい親水性付与方法となる。

同社ではシリコーンゴムの特長を生かした分子接着・接合技術によって、マイクロ流体デバイスをライフサイエンス分野に展開しているが、今回開発した超親水性処理技術をマイクロ流体デバイスに応用することで、マイクロ流路内の送液性をこれまで以上に向上させることができる。また、細胞培養器材に使用することで、取り出しやすさや蛍光観察を可能にすることができる。

超親水性処理技術は、同社独自の分子接着・接合技術と非常に相性の良い技術で、技術の組み合わせにより、ライフサイエンス分野を中心に、シリコーンゴムの付加価値を高め、さまざまな用途への展開を進めていく。