2020年11月25日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】ニッタ
自動車生産回復期待

IT活用の重要性を再認識

ニッタの搬送用ベルト事業を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの影響で、国内外とも厳しい状況にある。ベルトの需要業界のすそ野が広いことから、平均的な動きではあるが、6~7月が最もユーザーの生産、稼働率が落ち込んでいた時期だった。

成長分野である物流や比較的安定している食品業界でも、今回のコロナ禍にあって、顧客によっては、業務の停滞や休止を余儀なくされている。入構制限など、ベルトの取り換え需要などの機会が減少する一方、新型コロナウイルス感染防止策として、密を避ける目的のレイアウト変更など、ベルトやカーブコンベヤに対する新たな需要もあった。

全体的に言えば、やはり国内自動車の生産の停滞による影響が大きく、自動車関連産業にかかわる工作機械、鉄鋼、電子などはまだ不透明だ。ただ中国での生産活動が動き始めたことから、一部日本メーカ向けの売り上げが上がってきているが、この第2四半期までは厳しい状況から脱しきれなかった。10月以降は、GOTOトラベルなど政府による景気の刺激策に加え、出張など地域間の人の流れも徐々に戻ってきていることから、景気の回復基調に対する期待感は高い。そうした状況を見据えながら、同社ではウィズコロナのこの時代にあって、新しい営業展開も模索しながら業績の回復に全力を尽くす。継続的成長が見込める物流分野があり「これで自動車生産が順調に回復していけば、国内景気も復調していくだろう」(同社工業資材事業部ベルト事業グループ・松川孝治営業部長)。食品分野の需要は比較的安定しており、事業の柱として位置付けている。この業界に向けての製品開発についてはお客様の困り事のテーマが常に多くあり、お客様満足度の高い製品を継続的に上市していく考えだ。

今年は「FOOMA JAPAN2020(国際食品工業展)」が中止になり、これ以外の多くの展示会や勉強会も取りやめとなり、顧客との接点の場が変化した。同社としては「ベルト販売というものは、実際にベルトに触れてもらい、面談しながらお客様の気が付いていない困り事の要因を探り出すものだと考えている」。このスタイルを今後も維持していくが、現状においては、ウェブの活用などの非接触型のツールをできるだけ準備していく方針だ。テレワーク中はレスポンスの速さを特に重視し、信頼を維持することに努めた。今後は徐々に通常の生活に戻り、以前の状態に近い体制で仕事に取り組むことができる状態になると見込まれるものの「今回のコロナ禍によって、業務形態の一つとしてのテレワークの重要性も認識し、ノウハウも身についた。災害時のみならずアフターコロナにおいてもITを活用する重要性は高く、貴重な経験だった。テレワークで使用した機材は今後も活用していく」(同)ことで、BCP対策の観点からも事業体制に厚みを増すことができた。

下期については「回復基調に入ったと見ているが、その回復速度は内需外需ともにいまだ不透明であり、業種業界また顧客ごとにその見通しもまだら模様であることから、厳しい状況が続く」(同)としている。