2020年12月25日


高機能素材ウィーク2020

最新技術および製品などを紹介

「第9回高機能プラスチック展」や「第11回高機能フィルム展」といった6つの専門展で構成された「高機能素材ウィーク2020」が12月2~4日の3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催された。ゴム関連企業各社の展開する最新技術および製品などを紹介する。

信越ポリマーは、発泡成形によってスポンジシートに成形が可能で、さまざまな材質の基材とも一体成形可能なシリコーン系の「粘着ゴム」などを紹介。開発品の〝粘着性シリコーンスポンジシート〟は自動車産業などの工程内搬送などにおいて、自己粘着性を有することで剛体間を仮止めする際の緩衝材として活用できる。繰り返しの使用が可能で糊残りもしないことがメリット。また金属と一体成形した場合には、プレート化することで搬送治具としても使用が可能。耐熱・耐寒・断熱性に優れることから、断熱材としても用いることができる。そのほか、EPDMをシリコーン変性させ、引き裂き強さに特化したゴムや破断時の伸び特性に富んだゴムなど、各種の物性に特化した高機能ゴムも出展した。

右川ゴム製造所は、圧縮永久ひずみを限りなく0%まで近づけ、高復元性を発揮する「スーパーセットフォーム」などを紹介。押出成形による2次元断面での形状設計が可能で、2層成形品にも対応。産業機器に使用されるゴム部の〝ヘタり〟からくる機密性低下の改善や、住宅設備向けでは浴室パッキンなどさまざまな用途に適合する。また、中央大学理工学部精密機械工学科バイオメカトロニクス研究室と共同研究している〝軸方向繊維強化型人工筋肉〟の概要も紹介。ブースでは、中央大学発のベンチャー企業、Pliant Robotics社と同社が手掛ける人工筋肉が搭載されたロボットの指の動きも披露され、卵やボールなどを実際につかんで持ち上げる様子を来場者にアピールした。

岡安ゴムは長尺ゴムスポンジシート「タフロング」シリーズを出展。住友化学との共同開発品であるタフロングタフシートは両面皮膜・独泡・長尺を特徴とする薄物ゴムスポンジシートで、低圧縮によるシール性、断熱性、クッション性によって止水材、目地材、断熱材など、あらゆる用途に適合する。

2021年、創業100周年を迎える蒲田工業では、化学・半導体・食品・医薬品など、あらゆる分野で活躍するクリーンブースをアピール。「KAMATA精密空調クリーンブース」は、高品質なフィルム製造に求められる高精度な温・湿度管理を可能とし、オールインワンな精密空調の採用で工期も短縮化。設置スペースの最小化にも貢献する。ブースでは大規模な改修や新規の工事など、さまざまな業種における施工事例も紹介された。

ホッティーポリマーは、シリコーンゴム特有のタック性をフッ素ガス表面処理によって改善し、ほこりや汚れの付着を低減する「ノンタッキーシリコーンチューブ」や「ノンタッキーシリコーントリム」など独自の新製品の数々を披露。製品表面をフッ素ガスに接触させ、シリコーンゴムを化学的に改質させているため、表面積層によるコーティングより均一性・耐久性・柔軟性・コスト性に優れる。また、3Dプリンターの総合コンサルタントとしての事業も展開する同社では、自社製造による各種のフィラメントからオリジナルの業務用3Dプリンターまで関連製品を幅広く紹介。ブースでは今年7月から販売を開始した独・German RepRap社のLAM(液体積層造形法)3Dプリンター・L320も展示され、液状シリコーンゴムを材料に、射出成形とほぼ同一な物性の造形ができる性能がアピールされた。