2021年1月10日

TOYO TIRE
新春トップインタビュー

独自の存在感を発揮
新たなチャレンジに向けて突進

【昨年を振り返って】
昨年は新型コロナウイルスによる感染拡大による脅威によって、世界中が騒然となり、ウイルスという自然の猛威を再認識されせられた特別な一年だった。世界中で8720万人(1月7日現在)が感染しており、日々数十万人規模で感染者数が増大している。当初の見通しでは中国だけの問題かと思われていたが、瞬く間に世界中に広がり、経済活動に大きな打撃を与え、その猛威はいまだに収束せずに続いている。当社では企業としての感染防止策として、タイヤの生産工場は、密になる要素が比較的少ないものの、徹底した感染予防策を採った。4月8日からは生産、物流、メンテナンス分野のスタッフを除いて、まずは感染予防を第一に考えて、従業員全員を在宅勤務に切り替えた。パンデミックは当社にとっても初の事態であり、難しい判断であったが結果からみて正しい決断であったと確信している。3月には各部門の責任者を集めて情報収集や対応策を協議し、会議を通じて工場の稼働状況や顧客の動向などといった情報の共有を図った。

【TOYO TIREが受けたダメージは】
世界経済と同様、世界を舞台に事業展開を広げているタイヤ業界が被った被害は大きく、当社も上半期の4―6月に大きな影響を受けた。4月中は工場を閉鎖せざるを得ず、操業再開後も、6月までは操業度を元に戻すことはできなかった。ただし7月からは復調し、9月までの第3四半期のQoQは23%上回っており、業績予想の上方修正も行った。世界規模で経済的なダメージを受けており、当社としても経営環境としては極限的な局面を迎えているが、新型コロナウイルス感染症による影響を可能な限り回避し、成長路線への巻き返しに全社一丸となって取り組んでいる。経費や在庫の適正値を割り出し、開発面では消費者にとって魅力的な商品を提供することでマイナス面は最小化できる。それにはスタッフが情熱を持ち続けることが重要であり、筋肉質な経営体制によってこそ切望する新しい道が開かれるものと信じている。

【投資案件など計画に対する影響について】
一昨年の10月に竣工したマレーシアの新生産棟も順調に稼働しており、米国タイヤ生産拠点の第5期能力増強も第2弾の段階に入り、今年から生産稼働を開始する。欧州では予定通りセルビア工場の着工に入り、計画通りに来年稼働を開始させる。2019年に開設した欧州R&Dセンターと連携させ、技術力を背景としたさまざまな新しい可能性を引き出し、当社ならではの新しい製品を創出する。持たない不自由さから、これまで不可能と思われていた案件であっても、不自由さを逆手に取って、これを強みに変えていくことができると考えている。タイヤのメジャーメーカーと勝負するためには、差別化した戦略、生産体制、マーケティングなどにさらに磨きをかけ、他社には出せない存在感を発揮させていきたい。日本市場においてSUV用タイヤの展開を拡大させてきた取り組みもその一例であり、米国で磨き上げてきたSUV用タイヤの魅力をそのままに、日本向けにサイズを充実させて展開してきた結果は実を結び、当社ならではのマーケティングの勝利であったと自負している。TOYO TIREは人々の喜びを第一にモノづくりを行っており、新中期経営計画では、新しい人財がドラスティックで実直的な考えの下、自らが待望する姿として目標を立てている。

【新中期経営計画について】
当社は昨年創立75周年を迎えると同時に、前中計「中計’17」の4年間における最終年度でもあった。新中期経営計画の策定においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という不測の事態による計画への影響はなく、新しい進化の道筋に沿って着実に歩みを進めていく。定量目標として大きな目標を掲げており、その達成に向けて懸命に突き進むが、決して量を追いかけることはしない。圧倒的な存在感、独自性を備えた製品、他社が持たない能力を発揮することで目標を達成する。これこそが今後の当社のあるべき姿であると信じている。今年は2021年~25年をタームとしたスタートの年となる。厳しい経済環境下であっても、従来の立ち位置にとどまることなく、何としてでも新たなチャンスを獲得し、次なる成長への礎としたい。

【これからの展望と抱負について】
今年の1月は米国タイヤ生産拠点の第5期能力増強の第2弾の生産稼働が始まり、米国での生産能力増強の総仕上げが整った。ピックアップトラック、大型SUV向けタイヤの生産能力大幅増強が図られ、これらタイヤの北米市場展開に今まで以上に力を注ぐ。来年からは、セルビア工場の稼働開始によって海外からの欧州供給分を同工場に移管し、欧州供給の地産地消化を図る。それによって国内工場を再構築するとともに、北米市場を軸とした成長志向に一段と拍車を掛ける。2019年の新たな創業から数年を経て、磨き上げられた当社の新たな企業スペックによって本年は新たなチャレンジに向けて突き進みたい。