2019年12月25日

島津製作所
イノベーション協働研究所を大阪大学と設立

上田社長㊨と西尾大阪大学総長

島津製作所(上田輝久社長)と大阪大学(西尾章治郎総長)は、12月19日に「大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所(写真)」の開所式を行った。同研究所は、高齢化という社会課題に向き合い”幸せな健康長寿”を実現するために、オミクス(生体中の分子全体の網羅的な解析)を応用した製品・事業の創造を目指していく。大阪大学にとって企業との協働研究所の設置は20例目、島津製作所にとっては初の試みとなる。

 両者は2015年4月~今年7月末まで、代謝物の網羅的解析である「メタボロミクス」の分析技術の確立・発展とアプリケーション開発を目的とした「大阪大学・島津分析イノベーション共同研究講座」の運営を行ってきた。同講座は、その間に研究論文6報の発表や「LCMSメソッドパッケージDLアミノ酸」(17年3月発売)、「マルチオミクス解析パッケージ」および関連製品2種(19年3月)などの新製品開発といった実績を残してきた。

 「共同研究講座」から「協働研究所」への組織的な発展に伴い、講座を当初設置した大学院工学研究科だけでなく情報科学研究科や医学研究科など学内の他部門、さらには学外の企業や研究機関でも学際的な協業に参画できることとなった。研究設備も増強されており、島津製作所初の四重極飛行時間型(Q―TOF型)である高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS―9030」は1台から2台へ増やし、GCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)やLCMS(液体クロマトグラフ質量分析計)、前処理装置なども最新機種に更新。これらの装置や学際的な協業によってオミクス研究を発展させ、幸せな健康長寿実現に向けた研究成果の社会実装を目指す。

 【大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所の概要】
 ▽所在地=大阪府吹田市山田2―1▽所長=大阪大学特任教授・飯田順子氏(島津製作所分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部部長)▽設置期間=19年8月1日~22年7月31日▽主な分析装置(島津製作所製)=LCMS―9030、「同―8060」ともに2式、「同―8050」1式、「GCMS―TQ8050NX」2式、イメージング質量顕微鏡「iMScope Trio」1式▽人員規模=大阪大学13人、島津製作所グループ6人