2020年5月30日

横浜ゴム
2020年12月期第1四半期決算

コロナの影響受ける
機動的な財務施策を実行

横浜ゴム(山石昌孝社長)の20年12月期第1四半期決算の売上収益は前年同期比13・6%減の1291億2800万円、事業利益は同68・8%減の18億1900万円、営業利益は同90・4%減の12億4000万円、四半期損失は2億5800万円(前期は91億2700万円の利益)となった。事業利益における増減要因は、原料価格の低下で23億円(天然ゴム1億円、合成ゴム10億円、配合剤8億円、その他4億円)、固定費減による3億円のプラス要因があったものの、為替差損で2億円、販売量の減少で17億円(販売量23億円のマイナス、変動費6億円のプラス)、製造原価6億円、価格/MIX10億円、特殊要因12億円、ATG7億円、MB(マルチプル・ビジネス)8億円、その他6億円が収益を圧迫した。

事業別ではタイヤ事業の売上収益は前年同期比12・7%減の874億1000万円、事業損失は5億300万円(前年同期は14億9900万円の利益)。売上収益は前年同期を下回り、事業利益は販売数量の減少に加え、生産量減少に伴う製造原価の悪化および北米におけるリコールに関連した在庫整理費用を計上したことなどで減益となった。新車用タイヤは、国内では新型コロナウイルス感染症の影響による需要減少から販売が低調だったほか、海外でも各国で自動車メーカーの工場が操業停止になるなど生産調整が発生しており、国内、海外ともに売上収益は前年同期を下回った。市販用タイヤは積極的にグローバル・フラッグシップブランド「アドバン」シリーズや、低燃費タイヤブランド「ブルーアース」シリーズ、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「ジオランダー」シリーズ等の高付加価値商品の拡販に努め、各種戦略を進めたものの、国内では年初の暖冬の影響で冬用タイヤの販売が低調だったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による消費活動の停滞から需要が減少したほか、海外においても総じて販売が鈍化しており、市販用タイヤ全体として売上収益は前年同期を下回った。

MBの売上収益は同13・8%減の248億8900万円、事業利益は同46・0%減の9億2400万円。各事業で新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、ホース配管事業は国内外で建機需要が減少しており、海外でも自動車メーカーの操業停止などにより自動車向けが低調で売上収益は前期を下回った。工業資材事業は各市況の悪化からコンベヤベルトをはじめ、土木、海洋商品の販売が低調であった。ハマタイト事業は、国内では大都市圏の再開発工事の中断などが発生したほか、国内外で自動車生産が減少した。航空部品事業は官需向けの販売時期がずれたことにより、伸び悩んだ。

ATGの売上収益は同17・6%減の155億4400万円、事業利益は同27・0%減の17億8700万円。農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤは、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響によって需要が減少し、売上収益、事業利益ともに前期同期を下回った。

今期の業績予想および配当については、現時点では新型コロナウイルス感染症の影響を見通すことが困難であることから、今年2月に公表した予想をいったん取り下げ未定とし、合理的な業績予想の算定が可能となった時点で公表される。

なお同社は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、機動的な資金調達による手元流動性の積み増し、設備投資計画および経費計画の見直しによるキャッシュアウトの削減を行うほか、役員・理事の月額報酬および管理職の給与の減額など各種対策を進めている。