2020年6月10日

JATMA
新会長に東正浩氏

書面で定時総会
新副会長は山石氏(横浜ゴム社長)

日本自動車タイヤ協会(JATMA)は5月26日に開催した定時総会において新会長にブリヂストンの東正浩代表執行役副会長を選任した。任期は2022年まで。また副会長には江藤彰洋氏(ブリヂストン社長)に代わり、山石昌孝氏(横浜ゴム社長)が選任され、就任した。今回の定時総会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加者の移動を避け書面によって執り行われた。

新たに会長に就任した東氏は「5月26日に開催された定時総会を終え、清水前会長からJATMAの会長職というバトンを引き継いだ。

新型コロナウイルス感染症への対応の一環として、人々の移動を伴う活動は現在大きく制限されている。新型コロナウイルス感染症に対して、われわれが今後どのように向き合っていかなくてはけないのか、収束のタイミングを含めて見通しを立てることは非常に難しいが、社会生活の在り方が大きな転換期を迎えている状況には違いない。そのような中でモビリティ、そしてその主役である自動車の進化は交通事故、交通渋滞や排ガスなどの社会課題の解決をより一層目指すものになると考えている。

自動車タイヤは、自動車を中心としたモビリティを支える最も重要な商品の一つであり、自動車タイヤという商品をグローバルに提供する日本のタイヤ産業は、この重要な商品の提供を通してモビリティ社会を支えることに、今後とも大きく貢献していかなければならないと考えている。日本のタイヤ産業の団体であるJATMAは、そうした貢献の円滑な実現を目指し、個々の企業の枠を超えた産業団体として行うべき活動にまい進していく必要がある。その活動の基軸は、清水前会長がこれまでに幾度となく強調されてきた通り〝安全〟と〝環境〟であることは揺るぎない。JATMAの新会長として、これまでの活動基軸をブレることなく踏襲する一方、市場や社会の変化には柔軟に、そして積極果敢に対応する組織運営を図っていく。

近年、世界はアメリカと中国の間に横たわる摩擦や、イギリスの離脱に伴う混とんとしたEU情勢など、政治的にも不確定要素の多い状況にある。その一方で、経済とその基盤となる市場に関しては、統合という大きな流れに沿って動いていると期待をもって見ている。この激動期にあって、グローバルに活動する産業の団体であるJATMAの会長として、その職責を全うすべく力を傾けていく。関係者の皆さんには、日本のタイヤ産業の発展に向けてのますますのご支援、ご鞭撻をお願いしたいと思う」と述べ、今後に向けての意欲を示した。

18年から会長職を務めた清水前会長は、これまでを振り返り「会長としての2年間、国内自動車タイヤ産業における生産・販売活動はもちろん、使用から廃棄に至る製品の全般を念頭に、タイヤに関して市場や社会に潜在するさまざまな課題の解決を目指し、意欲的な取り組みを進めてきた。

世界中で人やモノの移動を実現しているビリティにおいて、自動車タイヤはこのモビリティを支える最も重要な商品の一つと言える。人やモノの移動を実現する一方で生まれる多岐にわたる課題を網羅的にとらえて、最適な答えを求めていく必要があった。これらの活動の中でも、特に社会との接点において揺るぎない基軸として据えていたのが〝安全〟と〝環境〟である。関係する多くの皆さんの協力も得たことで、少しずつ周知が広ってきたタイヤの日である4月8日には、実際に高速道路のサービスエリア(東北自動車道羽生)でタイヤの安全啓発と空気圧点検を実施してきた。

また、国連欧州経済委員会において「タイヤの車外騒音・ウエット路面上の摩擦力・転がり抵抗に係る協定規則(第117号)」が採用されたことに伴い、私の在任期間中にウェットグリップ、転がり抵抗および車外騒音に係る国内規制の導入が開始された。同規制に適合する自動車タイヤの円滑な供給を通して、モビリティの環境性能向上にささやかなりとも貢献することができたのではではないかと振り返っている。

昨年6月、JATMAがホストを務め、ISOにおけるタイヤの国際規格策定を担うTC31の年次総会を金沢で開催した。国内の自動車タイヤ産業はグローバルにビジネスを行っており、国際規格の重要性、必要性は認知されている。今後も引き続き、業界を挙げてISOにおける取り組み強化を図っていかなければならないと考えている。JATMA会長の在任2年間には実にさまざまな役割を果たしてきたが、これもひとえに関係者の皆さんの理解と協力が頂けたお陰であると心より厚く感謝している。

新型コロナウイルス感染症拡大によって、タイヤを含め自動車産業全体が深刻な影響を受けているが、モビリティによる人やモノの移動は社会インフラとして欠かせない使命を背負っている。

新しい東会長の下、ますます業界が発展できるよう願っている」と感謝の気持ちを表し、東新会長への期待の言葉を贈った。