2020年9月5日

バンドー化学
NEDOの助成事業に採択

CNFを早期に社会実装・市場拡大

バンドー化学(吉井満隆社長)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発」の助成先に選定された。採択された14件のテーマのうちの1件で、化学品メーカーである東ソー(山本寿宣社長)と連携して〝伝動ベルトをターゲットとしたCNF複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術開発〟を担う。

助成事業の背景としては、世界では石油の価格上昇や枯渇リスク、CO2排出量の増大に伴う温暖化問題に直面。将来的に石油資源の供給リスクを克服しながら、持続可能な低炭素社会を実現していく目的から、バイオマスなど、さまざまな非石油由来原料への転換への必要性に対するニーズにこたえる必要がある。植物素材であるセルロースナノファイバー(CNF)は、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を誇るバイオマス由来の高性能素材で、その実用化に向けた期待が増す一方で、市場拡大への道筋を探る。そのためには一層の用途開拓やコストダウンが不可欠であり、今回の事業では、製造コストを大幅に低減させるための目的に向けた製造プロセス技術の開発や、用途開発の促進、安全性評価などを行い、これによってCNFを利用した製品社会実装・市場拡大を早期に実現する。それによりCO2の排出量を削減し、エネルギー転換・脱炭素化社会を目指す。

事業名は、炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発で、研究開発項目は、革新的CNF製造プロセス技術の開発。採択されたテーマ名は、「伝動ベルトをターゲットとしたCNF複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術開発」で、バンドー化学と東ソーによって2020~24年度(予定)にかけて実施される。

CNFとは、植物由来のセルロースを直径約20㌨㍍、長さ数㍃㍍にまで、ほぐすことで生まれる最先端のバイオマスナノ繊維素材。軽量で高強度の特性を備えており、資源の少ない日本をはじめ、世界中で森林資源を生かせる新素材として注目されている。

バンドー化学のCNF材料技術による高性能伝動ベルトの開発については、同社においてはCNFの特長を生かしたゴム材料技術により、ベルトの高伝動化および高効率化の開発に取り組んできた。高伝動化により駆動システムの大容量化・コンパクト化を可能とし、高効率化により低燃費化を可能としてCO2削減を図る。

同社では、従来から環境貢献製品の開発に取り組んできたが、今回のNEDO助成採択により、今回の事業を推進し、さらに社会貢献を目指していく。