2021年3月5日

フコク
新中期経営計画を発表

事業経営のキーワードは
“深化”と”新化”

フコク(小川隆社長)は24日、2021~23年度を実行期間とした「新中期経営計画」を発表した。事業経営におけるキーワードは〝深化〟と〝新化〟で、さまざまなステークホルダーと協働し、ともに新たな価値を創造する共創活動によってビジネスの革新を図る。

深化では、既存事業におけるコア事業によって収益拡大を目指すメソッドで、ワイパー事業の強じん化、海外事業の選択と集中に取り組む。ワイパー事業の強じん化では、設計業務を効率化し、事業拡大を迅速化。従来の工程では、顧客との間で製品化までのプロセスが多く、長時間を要していた状況を簡略化。設計から試作、部品評価、実機評価、完了といったフローでプロダクトが行われていた工程を、仮想設計、仮想評価、実機評価、完了というプロセスに置き換えることで迅速化する。海外事業の選択と集中では、アセアンやインドといった重点地域の経営自立を推進する。現状では研究開発から評価、金型加工、調達までを日本国内の本社で行い、製造のみ海外拠点に託していた。自立後は研究開発のみ本社で行い、以降の評価、金型加工、調達、製造までの工程を海外拠点に移し、現地完結型のスピード経営に変革。競争力を高め、グローバルに事業を拡大する。

新化においては、世の中の課題に向けてソリューションを提供し、将来の新しい領域に向けての事業の種まきを実施する。同社が備えているゴム素材の材料・形状設計、加工技術といったコア技術を通じて課題を抱える顧客に対し、多様な技術の使い方を駆使して課題の解決に結び付ける。ニーズをくみ上げ、先行開発で解決策を先取りしてソリューション提案。新しいビジネスとして確立する。ライフサイエンス事業の創出に向けては、健康・長寿の時代において、医療や生活分野などを通じて、ゴムから始まる安心・安全・快適を提供する。医療分野では液体培地、細胞培養バッグ、細菌感染症用検査キット、MRI駆動用モータを展開。生活分野では空間除菌霧化装置、ヒト脂肪由来幹細胞順化溶液、ヒト脂肪間質細胞エクソソーム、美容液などを供給する。いずれも〝高分子化学の技術力で、お客様の課題を個別に解決〟するスペックを強みとした同社ならではの展開で新たな成長を果たす。

CASE対応事業の拡大に向けては、Connected(コネクテッド)では、先進防振ラバー、航空宇宙用センサーラバー、高機能画像ズームカメラ用リングモータ、Autonomous(オートノーマス)の下では、電子機器振動軽減ラバー、高静粛複合ラバー、ICT建機用高性能マウント、Shared(シェアード)では、衛生快適空間提供用霧化装置、衛星向け擾乱絶縁材、新モビリティー用振動低減ラバー、Electric(エレクトリック)の部分では、電動自動車用高機能シールラバー、車載モータ用高機能防振ラバー、マルチ冷却用バルブなど、新素材・新工法を駆使して夢あふれる未来づくりに貢献する。

企業としての社会的貢献については、ESG経営を推進。E(環境)では、CO2排出削減に向け、環境プロジェクト室を新設、製造工程の廃棄物低減を図り、25年までに製造工程の廃棄物50%削減を目指す。S(社会)においては、人事制度改革によってダイバーシティ、働き方改革推進、若手登用、将来経営者育成、シニア活用に取り組む。G(企業統治)に向けては、情報発信力・内部統制機能強化に向け企業ホームページの全面刷新、IR活動の積極的な働きかけを行う。DX推進においては、社長指揮の下で全体統括を図る。
 定量目標としては、24年3月期の売上高を800億円(21年3月期は620億円)、経常利益率7%(同1・8%)、ROE8%(同1・9%)、連結配当性向30%を計画している。