住友理工
富士裾野製作所で拠点再編
筋肉質な経営体質へ
住友理工(清水和志社長)は、国内生産拠点の一つである静岡県裾野市の富士裾野製作所で生産の合理化を図り、自動車用防振ゴム事業(防振事業)の他拠点・グループ会社への完全移管と、化成品事業のグループ会社への一部移管をそれぞれ進めていることを明らかにした。今回の拠点の再編・集約によって、グループ経営資源の適正配置を促し、新たなビジネスチャンスへの戦略投資や成長市場への参入などを視野に、より機動的で柔軟な意思決定を進めていく。
同社は1990年11月、防振、化成品両事業の生産拠点として、富士裾野製作所を設立。防振事業においては、関東・中部圏の顧客への効率的な生産対応や物流網の構築を実現したほか、工場の自動化をけん引した。化成品事業については、オフィスのIT化とパソコンを個人所有する時代の進展に伴い、プリンター・複写機市場が急速に拡大。高精細な印刷技術を支える、同社の高精度な各種ロール・ブレードへの需要が飛躍的に高まった。
しかし、防振事業については納入先である自動車メーカーの生産拠点シフトなどによって供給体制の整備の必要性が高まっていたことから、小牧製作所(愛知県小牧市)、住理工九州(大分県豊後高田市)、住理工山形(山形県米沢市)の3拠点を中心に完全移管することとした。
また化成品事業では、スマートフォンなどモバイル機器の普及に伴い、紙への印刷の機会が減る「ペーパーレス化」が進展。コロナ禍での新たな生活様式などを背景に、事務機器市場の縮小傾向が続く中、事業の収益体質を強化するため、同製作所の生産規模を縮小し、同事業および新規事業分野の開発・営業拠点として新たに再編を行う。事務機器向け主力製品の生産については、大分県豊後高田市の住理工大分AEおよびタイ・ラヨーン県のSumiRiko Chemical and Plastic Products(Thailand)に集約される予定。
同社は同製作所の事業・拠点を再編することで、グループ横断的に生産や物流など各種コスト削減を進めるとともに、人材や生産設備など経営資源の最適な配置と活用を図る。
同社グループは20年度にはフランス、アルゼンチン、ベトナム、インドなどで、攻守両面から拠点再編と事業構造改革を推し進めてきた。住友事業精神の「不趨浮利」でうたわれるように、時代や社会環境の変化に迅速・的確に対応しながら、コロナ禍などの影響による低操業下においても、利益を確保できる筋肉質な経営体質への変革をさらに進めていく。
【富士裾野製作所の概要】
▽所在地=静岡県裾野市須山1220―8(富士裾野工業団地内)
▽事業内容=自動車用防振ゴムおよび事務機器向け精密部品の製造・販売
▽面積=土地12万4000㎡、建屋2万3500㎡
▽従業員数=384人(21年3月末時点)