デンカ
MS樹脂年産14万トン
増産設備の竣工稼働で倍増
デンカ(今井俊夫社長)のシンガポール子会社、Denka Singapore(DSPL)は、セラヤ工場で進めていた高機能透明樹脂であるMS樹脂の増産設備を竣工し、7月1日から稼働を開始した。これにより、同社のMS樹脂生産能力は年間約7万㌧から約14万㌧に倍増し、拡大する需要に対応していく。
MS樹脂はスチレンとメタクリル酸メチルの共重合体で、吸湿性が低いことによる寸法安定性をはじめ、低比重、良成型性などのさまざまな機能を有している。同社のシンガポール拠点では、連続プラントでの精密重合技術を生かした低コンタミ、良外観を備えた高機能樹脂の製品を安定生産できる技術を備えていることから、製品に加えて生産技術においても他社との差別化が図られており、国内外のユーザーから高い評価を得ている。
加えて、高透明性などの特長を備えており、液晶テレビやPCモニターのバックライト用導光板等の光学用途に加え、中国を中心としたアジアで成長著しい化粧品用容器等の非光学用途まで使用されている。テレビ・モニターの省エネルギー・大画面化・狭額縁化や化粧品容器の高品質化へのニーズが高まる中、同社は2019年9月に汎用ポリスチレン生産設備の転用・改造による生産能力の増強を決定した。投資金額は約27億円。
同社は、経営計画「Denka Value―Up」において基盤事業のスペシャリティー化を成長戦略の柱の一つに掲げ、ポリマーソリューション部門では今回設備増強が行われたMS樹脂をはじめ、シュリンクラベル等で使用されるSBC樹脂「クリアレン」や、自動車の内外装材用途に使用される耐熱付与材「デンカIP」などの高機能・高付加価値スチレン系機能樹脂に注力している。