新春トップインタビュー
東部工業用ゴム製品卸商業組合
従来の行事再開へ
ともに一歩一歩前へと進む
【昨年を振り返って】
2020年はコロナ禍によってゴム業界にとっても非常に厳しい市場環境が続いたが、昨年はそういった影響を受けながらも全体的には回復が進んだ一年であったと感じている。組合員企業におかれても業況が2019年の水準に復調したと言う声も聞かれるようになり、一時の停滞した状況からは脱して上昇ムードが漂っている。しかしながら、昨年前半からの半導体不足で自動車産業が低迷したことで、われわれゴム商業者としても自動車業界全体の不況には少なからず影響を受けた。これまで自動車関連が唯一低調という事態はかつて経験したことがなく、この点についてはコロナ禍における特徴的な事象としてかなりインパクトが強かった。また、景況が思わしくない時ほど(樹脂ベルトの需要先である)食品分野は底固いと言われてきたが、緊急事態宣言の発出を受け、家庭向けの食品関連は好調でも外食産業は大きな打撃を受けるなど、食品業界においても明暗が分かれた。
直近の状況としては年の後半に入ってから回復感はより鮮明になっており、景気の先行指標とされる工作機械のほか射出成形機、搬送システムなどの生産も好調で、企業の投資活動にも復調感がうかがえる。年末辺りからさらに景況感の改善に勢いも見られることから、今年はその流れの延長線上で良いスタートを切れた。
【現状の課題について】
需要が急速に活性化してきたことで昨年来〝モノ不足〟が顕著になっている。さまざまな業種が供給不足に揺れており、ゴム業界においてもEPDM、フッ素ゴム、シリコンゴムなどの素材が入手困難で、市場環境が良化に向かっていながら今後の大きな懸念材料になっている。そういった原材料のひっ迫は原料価格の高騰を引き起こし、樹脂ホース、ゴム板などの値上げも実施されている。今後、ほかのゴム製品も値上がりする見通しだが、幸いなことにはゴム工業用品だけではなくほかの製品も全般的に上がっている状況なので、お客様の理解は得やすい環境だととらえている。今後の対応については商社とメーカーが協力しながらユーザーのご理解を頂き、業界全体でプラスになるように持っていきたい。
【組合活動について】
昨年の理事長就任時のあいさつの中でも述べたことだが、行事を通して事業に役立つ情報交換ができることが組合の大きな存在意義だととらえており、昨年は参加者の安全と感染対策に工夫を凝らしながら実施可能な行事を開催してきた。7月13日に開催した商品展示説明会では入り口での検温と消毒のほか、密を避けるために間隔に余裕を持たせたレイアウト、さらには各テーブルに消毒液を設置するなど、できうる限りの予防対策に努めた。当日は組合員16社、賛助メーカー27社が出展し、各社が最新技術の粋を約500名の来展者に披露した。恒例の抽選会やアンケート、開催後の懇親会は開催を見送ったが、あれだけ多くの工業用ゴムメーカーが一堂に会する展示会は貴重な取り組みで新製品情報の収集の場として開催にこぎつけて良かったと思う。また、7月25日~8月22日にわたっては例年に比べて参加チームは少なかったものの、組合伝統の親睦野球大会も開催した。これも商品展示会と同じく2020年はコロナ禍で中止となっていたもので、参加チームには検温・消毒をお願いして徹底した感染対策の下でプレイに臨んでもらった。
【今後の活動については】
今年も引き続き、参加者の安全面への工夫を怠らず、開催可能な行事を実施していきたい。理事会、各部会とも組合事務所や規模の大きい会議室を借りて行うほか、組合でオンライン会議システムも導入しており、〝ハイブリッド〟形式での開催を予定している。1月25日、帝国ホテルで開催予定の商工新年会では、やはり密の回避を念頭に従来より広い会場を押さえている。これまでの立食スタイルではなく移動をしない着席での懇親となるが、前半でマスクを着用したコミュニケーションタイムを設定することで参加者同士が広くあいさつできる場も提供したい。そのほか3月のベルト・ホース商工懇談会、各種のセミナーや勉強会、秋期の見学会なども基本的な感染対策と安全に対する配慮を忘れずに、リアルとオンライン双方による開催を目指す。
【新年の抱負を】
2名の副理事長、常任理事、理事との連携を密に、とにかく意見が活発に言えるような組合運営を目指したい。これまで長らく運営に携わってきたメンバーばかりなので相互の信頼も厚い。今後の方向性としては、まずは以前通りの行事の再開を当面の目標としているが、組合活動への参加率を上げるためには参加意欲がわく魅力のある行事をもっと実施していく必要がある。そのためにも皆さんの知恵を借りながら、さらに検討を重ねていきたいと考えている。
この2年間はみぞうの災禍によって皆さんが多くの我慢を強いられてきたと思う。やりたいことをやれる喜びを噛みしめながら、ともどもに一歩一歩前へと進んでいける年にしていきたい。