ダイセル
中期戦略推進で新組織設置

ダイセル（小河義美社長）は、長期ビジョン「ＤＡＩＣＥＬ　ＶＩＳＩＯＮ４・０」、中期戦略「Ａｃｃｅｌｅｒａｔｅ２０２５」で掲げる循環型社会構築のための①新企業集団の形成②バイオマスプロダクトツリーの実現③カーボンオフセット、エネルギーオフセットの実現④健康・安心安全・便利快適・環境といった４つのトリガーによる幸せの提供の４つのシフト実現に向けた〝産産学学官官〟の協創を加速させるため、新たに「バイオマスイノベーションセンター」「無機複合実装研究所」を設置する。

また、医療分野に関連する製品やサービス、研究開発やマーケティング機能を集約し、ニーズ探索の強化と事業シナジー拡大によってメディカル分野のＳＢＵ化を目指す「ライフサイエンス事業企画室」を設ける。

さらに、ダイセルグループの成長戦略の基盤となる事業計画の迅速な意思決定と計画の精度向上を図るため、「アセスメント本部」も新設する。

新設される各部署の概要は次の通り。

▽バイオマスイノベーションセンター=同社は循環型社会の構築に向け、再生可能なバイオマスを原料とし、その生産プロセスにおいても環境負荷の小さい新たなバイオマスプロダクトツリーの構築を目指して金沢大学や京都大学と共同研究を推進。今後もオープンイノベーションによる協創を進めるとともに、このバイオマスプロダクトツリーを中核として一次産業と連携し、地域社会に密着した新たな価値の循環を生み出すバイオマスバリューチェーンの構築も目指している。こうした共創の取り組みを企画・推進するとともに、俯瞰的にバイオマスに関する取り組みの連携を進め、社会実装していく中核機能としてバイオマスイノベーションセンターを新設する。これにより、バイオマスを有効活用した循環型社会構築に向けた新素材やその生産プロセス技術の開発を加速し、新たな社会的価値の創造を目指す

▽無機複合実装研究所=同社は有機化合物の開発・生産を得意としてきたが、さらなる価値創造に向けて無機と有機の複合素材の開発を進めている。これまでリサーチセンターを中心に無機有機複合材料テーマの基礎研究を進めてきたが、基礎研究にとどまらず、その研究成果に関連する顧客に密着した応用研究や開発を同時並行的に進めるべき段階を迎えたことから、リサーチセンターから独立した無機複合実装研究所を新設し、顧客のニーズに応じた新素材の基礎研究や顧客による実用評価に向けた試作品開発などを行っていき、研究成果の市場性を早期に見極め、革新的な無機複合材料の実用化を目指す

▽ライフサイエンス事業企画室=ライフサイエンス・メディカル関連事業推進のためライフサイエンス事業企画室を新設し、関連する事業の遂行と研究開発を俯瞰的にマネジメントする体制を整え、ライフサイエンス関連事業のＳＢＵ発足を目指す。本組織の配下に、キラル分離事業などを手掛けるＣＰＩカンパニーを置き、その研究開発部門に事業創出本部で進めてきた製剤ソリューション事業ユニットの開発機能を統合する。またＣＰＩカンパニーのマーケティング部門には、製剤ソリューション事業とセイフティＳＢＵの医療関連事業戦略部（アクトランザラボ）のマーケティング機能を統合する。これに加え、本組織の直下に事業推進部を設け、ＣＰＩカンパニーや製剤ソリューション事業の海外子会社を含めたＲ＆Ｄ戦略の立案・推進、社外企業との提携を模索する機能を持たせる。なお、セイフティＳＢＵのアクトランザラボは、基盤技術の特性から開発・生産機能をセイフティＳＢＵに残し、マーケティング機能のみＣＰＩカンパニーに移管する。これにより、従来の組織で担ってきた研究開発やマーケティングの経営資源を組織横断的かつグローバルに活用し、医療関連分野の事業化加速を図るとともに、同社グループの技術をベースに、国内外の医薬品、医療機器企業との共同開発、共同事業を見据えた活動を推進していく

▽アセスメント本部=同社グループの新規事業計画や投資計画に関連するアセスメント体制の強化を目的として、アセスメント本部を新設する。本組織では、新規計画や変更計画について、その事業性・安全・環境・品質・ＣＳＲ等に関するリスク想定を行い、計画精度向上と迅速な決定を両立させつつ、多様性・専門性の高い検討を一体化した体制で実施する。また、本組織にアセスメント推進室を置き、アセスメントの仕組み・体制・基準等の企画立案や計画策定能力の向上、自己点検・アセスメント等に必要な人材育成・技術蓄積、関連技術および情報の収集提供等を実施し、アセスメントの継続的な改善・強化を図る。加えて、監査機能と連携したアセスメント結果の実施確認・支援、事後評価など、アセスメント自体の継続的な改善を効率的に進めていくことを目的として、品質監査室とアセスメント実施主体でもあるレスポンシブル・ケア室を本組織配下に移す