富士フイルム
熊本に生産設備新設
国内初のCMPスラリー生産体制
富士フイルム(後藤禎一社長・CEO)は、電子材料事業をさらに拡大するため、約20億円を投じて最先端半導体材料に対応した生産設備を熊本に新設することを発表した。今回、半導体製造プロセスの基幹材料であるCMPスラリーの国内生産化と生産能力増強に向けて、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(本社・神奈川県横浜市、榎戸雅史社長、以下、FFEM)が、ディスプレイ材料の主要生産拠点である熊本県菊池郡に立地する富士フイルム生産子会社の富士フイルム九州の工場内に、CMPスラリーの生産設備や品質評価機器を導入。新たな設備・機器と、ディスプレイ材料で顧客の高い品質要求にこたえてきた富士フイルム九州の人材・生産ノウハウなどを組み合わせて、高品質・高性能なCMPスラリーの生産を行う。なお本設備は、来年4月に着工、2024年1月に稼働が予定されており、富士フイルムとしては国内初のCMPスラリー生産設備となる。
近年AI/IoTや5Gの進展、自動運転の普及・拡大などによって半導体の需要拡大、高性能化が見込まれている。このような中、半導体製造プロセスで使用する半導体材料は、より高品質・高性能な製品を安定的に供給することがますます重要となっている。
CMPスラリーは、硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平たん化する研磨剤で、その市場は年率10%で成長すると見込まれている。富士フイルムは米国・台湾・韓国にCMPスラリーの生産拠点を有し、安定供給と品質に対する高い顧客要求にこたえ続けることで、同製品の市場伸長を大きく上回る売り上げ成長を達成している。
今後同社は世界4拠点の生産体制の下、CMPスラリーの安定・迅速供給を実現することで、さらなるビジネス拡大を図っていく。また、研磨後の不純物を取り除くポストCMPクリーナーを有する強みを生かしたトータルソリューション提案で顧客が抱える課題を解決し、半導体のさらなる性能向上に寄与していく。
富士フイルムは、CMPスラリー・ポストCMPクリーナーのみならず、フォトレジスト(半導体製造工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料)やフォトリソ周辺材料、高い耐熱性や絶縁性を持つ材料で、半導体の保護膜や再配線層の形成に使用されるポリイミド、イメージセンサー用材料などの幅広い製品ポートフォリオ、グローバルの安定供給体制、高い研究開発力、顧客との強固な信頼関係を強みに、積極的な設備投資などの成長戦略を推進し、電子材料事業の持続的成長を図るとともに、半導体産業のさらなる発展に貢献していく。