三菱ケミカルグループ
世界初の事業化へ検討開始
PC樹脂ケミカルリサイクル
三菱ケミカルグループは、ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂)ケミカルリサイクルの世界初の事業化に向けて、2030年に年間1万㌧規模の処理能力の実現を目指す検討を開始した。現在、福岡県北九州市の福岡事業所に実証設備を建設中で、本年8月の完工後、同年度中に実証実験を完了させ、具体的な事業化検討を進める予定。同実証事業は環境省の「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」の補助事業として採択されている。
PC樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチックで、自動車の内装部品やヘッドランプ、建築資材などに使用。現在、使用済みPC樹脂は粉砕・溶融後に成形し直すマテリアルリサイクルによる再資源化が一般的ながら、劣化が進行したものや異なる樹脂が混入していると、十分な品質のリサイクル樹脂が得られないという課題があった。これに対して、使用済みPC樹脂を解重合して原料モノマーに戻し、再び重合するケミカルリサイクルを行うことによって、より広い範囲の使用済みPC樹脂を高品質なリサイクルPC樹脂に再生することが可能となる。
同社グループでは、ケミカルリサイクル技術の確立のみならず、使用済みPC樹脂のリサイクルシステム構築も目指しており、PC樹脂を製品に使用する企業などとの連携も積極的に進めていく予定。また同社グループでは来月3日より高付加価値PC樹脂「XANTAR(ザンター)」などの展開を開始し、エンジニアリングプラスチック事業のさらなる強化を図っていく。