積水化成品工業
テクポリマー ポリイミド中空微粒子
世界初 量産可能な製法で開発
積水化成品工業(柏原正人社長)は、ポリイミドをシェルにした中空微粒子の量産が可能な製法を世界で初めて見いだし、「テクポリマー ポリイミド中空微粒子」の商業化技術を神戸大学大学院工学研究科の南秀人教授らの研究チームと共同で開発した。
ポリイミドは、高耐熱性に加えて機械強度・化学安定性・絶縁性に優れ、電気・電子材料や宇宙航空といった幅広い分野で応用されている。粒子内部に空気層を持つポリイミド中空微粒子は、その構造から絶縁性や軽量性、低密度、低屈折率などの特長を備えており、「高速大容量」「低遅延」「多数接続」を特長とする5G(第5世代移動通信システム)において、高速伝送回路の伝送損失抑制が見込める高耐熱な低誘電素材として期待されている。しかしながら、ポリイミドは高耐熱であるがゆえに加工性に乏しく、特に中空粒子の作成報告例はこれまでほとんどなかった。
「テクポリマー」は、独自の重合技術を用いたポリマー微粒子で、液晶ディスプレイの光拡散材や化粧品の添加剤、塗料のつや消し材など、さまざまな用途で使用されている。ナノサイズで、内部に空気層を備えたポリマー微粒子であるアクリル系中空微粒子として「テクポリマー NH」を市場投入。今回、神戸大学大学院工学研究科の南教授らの研究チームと共同でポリイミドをシェルにした中空微粒子の量産化技術を世界で初めて見いだし、絶縁性・耐熱性に優れた球状のポリイミド中空微粒子を開発した。
特長としては、内部が中空構造のポリイミドからなる球状微粒子で、耐熱性、化学安定性、機械的特性に優れており、粒子内部の空気層により、中空であることから軽量で、絶縁性も高い。
積水化成品工業では“環境・社会課題解決型事業への転換”に取り組んでおり、これからも今回のようなオープンイノベーションなどを積極的に推進し、新しい価値創出に向けて、研究開発をいち早く実用化につなげていく。