2024年4月30日

TOYO TIRE
小型EVトラック専用リブタイヤ発売

EV専用非対称パターンを採用

TOYO TIRE(清水隆史社長)は、小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151 EV(ナノエナジー エム イチゴイチ イーブイ)」を6月1日から国内市場で順次発売する。発売サイズは215/70R17・5 123/121Jの1サイズで、価格はオープン価格。

日本国内のCO2排出量のうち、部門別では運輸部門が全体の約2割を占めており、物流業界ではモーダルシフトなど脱炭素化に向けた取り組みが本格化。輸送車両のEV化も進んでおり、商用車メーカー各社でもEVトラックのラインアップが強化され始めている。また、大手の荷主や運送会社に対し「非化石」への転換が義務付けられたことから、EVトラックは今後さらに需要の増加が見込まれている。

EVでは一回の充電で可能な航続距離が重視され、タイヤにおいてはこれに貢献する低燃費性能、EV向けタイヤではいわゆる「低電費」性能が求められる。特にEVトラックではバッテリー搭載によって車両の荷重が増大するほか、パワフルな駆動力により加速性能が向上し、タイヤに対する負荷が高くなることに加えて回生ブレーキ(通常時、モーターで電源入力を変換し駆動回転力を出力しているのに対し、軸回転を電源入力として動作させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換、回収または消費することで制動利用する電気ブレーキの一手法)が強くなり、フットブレーキの操作がほぼ不要となるなどの操縦性の変化も与件として組み入れたEVトラック専用のタイヤ性能が求められる。

新商品は、同社トラック・バス用タイヤでは初めてとなるEV専用非対称パターンが採用されているほか、耐摩耗NCPコンパウンドにより、トラクション性能と耐摩耗性能を高次元で両立させ、一段とEVにおける低電費性能を追求した。小口配送ではSTOP&GOの頻度が高くなることに加え、EV特有の高トルクによる早期摩耗を抑制する必要がある。新商品では、リブ(縦溝)パターンによって耐摩耗性能を高め、ウェット路面でも加速できるようブロックパターンを配置して横溝を増やすことで、しっかり地面をとらえるトラクション性能を発揮する。

さらに、同社独自の材料設計基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」を活用。これに独自のプロセス技術により、ゴムコンパウンドのエネルギーロスを低減できるポリマー「Nano Composite Polymer(ナノ・コンポジット・ポリマー)」に最適なコンパウンド設計を行い、転がり抵抗低減に加えて耐摩耗性能を同社現行展開商品(低メンテナンスリブタイヤM125ZB)比で21%向上させた。ビードワイヤーには環境に配慮し、再生素材が採用されている。Nano Composite Polymerは、同社が2018年3月に確立した、Nano Balance Technologyにおける「ナノ加工」の進化技術(コンパウンド作製前に固形ゴム中のフィラー構造を最適化する同社独自の技術)によって生み出されたポリマー。フィラーの凝集塊が飛躍的に低減し、均一かつ高度に分散された理想的なフィラー状態を確保。この結果、従来と比べてエネルギーロスを抑制できるゴム配合技術に成功している。

タイヤや車両が走行中に受ける空気抵抗をあらかじめ予測して商品設計に最適化して生かす同社独自の「空力シミュレーション」を、今回初めてトラック・バスタイヤ設計において採用。サイドウォールには新デザインのサイドプロテクターが配されており、耐外傷性能を補完。視認性を高めたブランドロゴには凹文字が使用されている。

今回の新商品によって今後同社では、活用の拡大が見込まれる小型EVトラックの社会的な貢献を足回りから支えていくとともに、引き続き専門的に知見を蓄積し、顧客の課題解決や社会の要請にこたえるトラック・バス用タイヤの開発と普及に注力していく。