2024年6月15日

日本ゼオン
COP新プラント建設へ

投資総額は約700億円
年産能力1・2万㌧

日本ゼオン(豊嶋哲也社長)は、同社の主力製品である高機能樹脂シクロオレフィンポリマー(以下、COP)の新プラント建設を決定した。2025年度下期に着工し、竣工は28年度上期の予定で、投資総額は約700億円。

同社ではかねてより、COPの生産拠点分散によるレジリエンス強化策の検討を進めていたが、国内外の候補地から山口県周南市を選定し、新プラント建設用に事業用地を取得した。現在、水島工場(岡山県倉敷市)で生産を行っているCOPは、中期経営計画において磨き上げおよび新規探索に注力する成長事業の一つと位置付けており、COPが有する優れた光学特性、低吸水性、さらには不純物が非常に少ないという特長から今後もおう盛な需要が見込まれている。光学フィルム、光学レンズ用途だけでなく、医療用途、半導体用途での採用も拡大しており、今後も一層の需要拡大が見込まれることから、本設備の増設を決定した。

なお、COPは水島工場の既存プラントで年間約4万2000㌧の生産能力を有しており、建設を決定した新プラントも合わせた全体の能力は、年間で約5万4000㌧まで増強されることを見込んでいる。

新プラント建設予定地は、BCP(事業継続計画)の観点から岡山県外の拠点が検討されてきたが、山口県周南コンビナート内の事業用地に決定した理由として、水島工場との利便性に加え、同社の徳山工場(山口県周南市)と近接した場所であることが挙げられている。今回取得した事業用地には、今後も高収益製品のプラント建設を検討中であり、現在の汎用品中心の徳山工場の製品ポートフォリオを大幅に見直し、操業人員も含めた各種リソースを高収益製品の生産に移行させていく計画としている。同社では今後も積極的な事業構造改革を推進し、中長期的な企業価値向上を目指していく。

【新工場の概要】
▽所在地 =山口県周南市由加町
▽敷地面積=約18万6500㎡
▽年間生産能力=約1万2000㌧