2019年12月5日

ブリヂストンが2019年振り返る ~今年の取り組み、来年の展望を語る~

ブリヂストン(津谷正明CEO)は11月29日、東京都中央区の同社本社において、津谷CEO、江藤彰洋COO、石橋秀一副会長が出席し、2019年の振り返りと20年に向けた取り組みを説明する記者会見を開いた。

まず、津谷CEOがマイクを握り、今年4月に買収したデジタルフリートソリューション事業を運営するトムトムテレマティクスについて「社名を10月から『ウェブフリート・ソリューションズ』と改めた。買収時点では保有する欧州の車両移動データは約87万台であったが、現在は100万台近くまで拡大しており、さらに中身と量を充実させてソリューションビジネスの展開に拍車を掛けたい」と今後の発展に期待を寄せた。また、佐藤琢磨選手が3位に健闘したインディ500、米ファイアストンカントリークラブで開催されたブリヂストン・シニア・プレイヤーズ選手権についても触れ、ゴルフに関しては「オハイオ州アクロンのファイアストンCCで大会が開催されることは、当社が米国で事業を営む上で非常に意義が深い」と述べた。9月にブリヂストン・アメリカス本社で開催された「ブリヂストングループ・グローバルTQM大会」では「各国事業所から改善事例が発表されたが、下関工場の代表者も日本代表として素晴らしいプレゼンテーションを行い、大変誇りに感じた」と語り、同社がスポンサーとして「エコピア・ウィズ・オロジック」を供給する「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」についても、大学生を中心とする将来を担う若きエンジニアを応援する数々の取り組みを紹介した。最後にハンドルロックを搭載した自転車のリコールに関しては、消費者と関係各方面にグループを代表して深い謝罪の気持ちを表し、「来年は明るい展望だけを話できるように、さらに気を引き締めて経営に臨みたい」と締めくくった。

引き続き登壇した江藤COOは、事業の進化・成長にフォーカスして説明。日本を除いてアジア初となるタイの建設・鉱山車両用タイヤ工場を10月に新設したが、乗用車用、トラック・バスタイヤにおいても、よりプレミアム性の高い製品を作れることを主眼にスペイン工場、ポーランド工場、北米ウィルソン工場での生産能力増強を現在実施している。また、技術センターについては欧米にも拠点を保有しているが、日本では小平市の開発・生産拠点を再構築し、「ブリヂストン イノベーション パーク」を開設する。事業の変革に向けた取り組みとしては、持続可能なモビリティー社会の実現に貢献するイノベーションや、〝断トツ〟の商品とサービスをデジタルでつなぎ、新たな価値を創造する「ブリヂストンT&DPaaS」といった未来に向けたソリューションを展開。江藤COOはゴムの肉厚を減らして軽量・省資源に寄与しながら従来以上に性能を発揮させるタイヤや、バス停バリアレス縁石システムの開発によって乗り降りをしやすくするソリューション、さらには天然ゴムをりょうがする強度・耐久性を有し、再生可能で環境に適合する新素材など、今年度に発表した製品・技術事例を紹介した。

最後に説明に立った石橋副会長はソリューションとイノベーションについてさらに深く解説。「タイヤは唯一路面に接しているパーツ。〝走る〟〝曲がる〟〝止まる〟機能を担い、そしてタイヤは命を乗せている。また、OE、リプレイス、メンテナンスで構成されているビジネスであり、当社ではこの点を踏まえ、従来の車を支えるタイヤからモビリティーを支えるソリューションシステムの構築に取り組んでいる。それによって社会とお客様に貢献していくことが当社のビジネスモデルの軸であり、社会、お客様、パートナーと価値を共創していくことをキーワードに、20年に向けてさらに新たな価値を創造していきたい」と、未来に向けた思いとイノベーションの具体的な構想を語った。