2019年12月5日

フォルボ・ジークリング
「Prosanフルシール HA CCP」シリーズの提案強化

フォルボ・ジークリング・ジャパンの樹脂搬送ベルトの現状は、2019年第3四半期(1―9月)のベルト部門の売上高は前年同期比約5%増となり、計画を上回り堅調に推移した。主力の食品分野は、ユーザーの設備投資に一服感が漂っていたことで上期はやや伸び悩んだものの、夏場のベルト交換需要の高まりによって販売が伸長。一方、物流関係においても、ネット通販の拡大に伴って物流センターの新設・拡張が継続しており、大型案件などが売り上げに大きく貢献した。通期全体の業績については、昨年に引き続き増収増益を達成する見通しであるものの、競争の激化など市場環境の変化がさらに激しさを増していることから、今期の目標に掲げている売上高前年比4%アップ程度と同社では見通している。

 今後、さらなる拡大に取り組む製品としては、搬送・加工工程用ベルト「トランジロン」から、食品業界向けに一段と衛生機能を充実させた「ProsanフルシールHACCP」シリーズの提案を強化。昨年、改正食品衛生法が公布されたことから衛生管理面でのニーズはさらに高まりを見せており、来年6月には改正法におけるHACCP(食品の生産および加工工程での〝安全〟を確保する衛生管理手法)の義務化もスタートすることから、食品業界からの安全への要求を背景に同シリーズの拡販に一層力を入れていく。このベルトは両面を耐湿熱性ウレタンでコーティングされており、衛生面と耐久性が一段と向上。抗菌剤は未使用でも抗菌・防カビ効果が高く、ベルト表面に食品残留物などの汚れが付着しても水洗いで簡単に除去することができる。また、オプションの〝スマート・シール加工〟(エッジシールとベルトを完全に一体化させる技術)を施すことで、ベルト内部への液体の浸透を防止。エッジや心体のほつれによる異物混入の心配がなく、同社の〝HACCPコンセプト支援〟の基盤となる異物混入リスクの排除・軽減を極めて高い次元で実現している。

同社では日本法人設立50周年記念の取り組みの一つとして、今年4~9月の期間で同シリーズの無料トライアルキャンペーンを実施。キャンペーンでは予想を上回る反響を得て、これまで同シリーズを使用したことがない顧客に製品特長を認識してもらう良い機会となったと言う。またユーザーの使用条件によっては、ほかの適合する製品を提案したケースもあったと言う。例えば、餅や炊き立てのご飯といった粘着性の高い食品搬送には優れた離型性を発揮する〝非粘着ベルト〟を推奨するなど、キャンペーンを通して新たな需要の掘り起こしにもつながったようだ。同社ではHACCPコンセプトを支援している製品に加え、欧米の食品規制に適合する幅広い製品群を取りそろえており、今後もニーズに最も適する製品の提案によって食品分野全体での底上げを図っていく方針。

 活況を呈している物流分野では、一般的な樹脂ベルトの需要とともに、ある程度重量がある搬送物の搬送に適したプラスチックモジュラーベルト「プロリンク」の採用が進んでいる。今年7月に開催された「FOOMA JAPAN2019」の同社ブースではプロリンクの稼働状況を確認できるデモンストレーションも実施。直進、カーブなどあらゆる搬送ラインに対応する製品を取りそろえており、これまで難しかった特定条件下での搬送用途に対応。部品、材質、アクセサリーの組み合わせによってユーザーのニーズと課題解決に向けたカスタマイズが施せる。また破損時には当該箇所のモジュールの速やかな交換を可能としており、メンテナンスコストと稼働タイムのロスを最低限に抑えられることも大きなメリット。

 今後の販売の方向性としては、自動車関連においてもユーザーの課題解決に貢献できる製品の提案を強化。自動車業界ではEVなどの普及によって部品点数が縮小し、既存ユーザーにおいては需要の減少が想定される。しかしながら、部品自体が変わっていくことで新たな需要が生まれるものと同社では見ており、自動車部品のサプライヤーなど、引き続き工業用途での拡大もねらっていく。