2020年1月15日

東部工業用ゴム製品卸商業組合
新春トップインタビュー

時代にマッチする活動実施が重要

【2019年の振り返りと今年の展望について】
昨年前半(2019年4月―9月)の状況で言えば、前年同期と比較して景況はあまり良いとは言えなかった。組合企業に大きなインパクトを与えた半導体関連の減速については、やはり米中貿易問題の影響を大きく受けており、一昨年までの好調さから一転して各社の業況に影を落とした。一方、インフラ関連においては比較的堅調に推移したものの、2018年が極めて好調であっただけに、伸びが鈍化してオリンピック需要に収束の兆しがうかがえる。そのような情勢は、ベルト・ホース部会ならびに工業用品部会が実施した〝景況観測調査〟にも顕著に反映されており、今後の景気の動向は予測が立ちにくく不透明感はぬぐえない。しかしながら、われわれとしても外部環境が変化したからといって手をこまねいているわけにはいかない。

日本の産業革命以来、近代産業の発展にベルトやホースなどの主力商材は大きな貢献を果たしてきたが、自動車の大変革や5Gといった新たな変化の波が押し寄せている現在、世の中の仕組みと生活様式も様変わりしていくだろう。伝動ベルト・搬送ベルトの需要も今後どのように変わっていくのかをしっかりと見定めながら、伸びていく市場と製品に軸足を置き、収益向上に向けた体質改善に努めなければならない。既存製品の中での“マーケットイン”だけではなく、イノベーションによって新たな価値を創出していかなければ事業の永続的な発展は難しい時代を迎えている。今年も組織の結束をさらに固めながら活力あふれる組合活動を推進し、商工が一体となって厳しい環境を跳ね返していきたい。

【これまでの組合活動について】
昨年実施した主な事業としては、組合創立40周年の記念式典と記念誌の発行など運営スタッフが一丸となって取り組んだ周年行事が最も印象に残るイベントであった。約2年前から準備を進め、若手を中心とする実行委員会も献身的に取り組んでくれたお陰で、大きな節目にふさわしい納得のいく式典を執り行うことができた。昨年は各地区組合におかれても40周年を迎え、東北、中部、西部、当組合の代表がそれぞれの記念式典に来賓として出席した。記念ゴルフ大会などのイベントにも互いに参加し合ったが、これによって全国のゴム商組の一体感がさらに高まり、より緊密な連携が図れるようになってきたと感じている。また、各種の研修・講習会や見学会、当組合“伝統”の野球大会など主要な行事を例年通り力を入れて実施した。野球大会については、今年は東京五輪の開催と重なることから、開催の可否、もしくは時期の変更を検討している。

【現状の課題について】
近年、クローズアップされている問題としては世代交代の時を迎えている会社も多く、後継者問題が表面化している。後継者不在による廃業や、会社の規模の問題もあって従来までの収益が見込めないことから継承が難しい場合もあると聞いている。正式なM&Aではないが、廃業を前提に顧客への供給引き継ぎを依頼されるケースもあり、やむを得ない事情があるものの、何らかの方策を立てられないものかと胸を痛めている。

【組合の体制について】
ここ数年で組合の世代交代が急速に進み、運営サイドの若返りが図られてきた。若い理事が大変頑張っており、組合を背負って立つ自覚も芽生え、将来を見据えた体制が構築されつつある。理事長就任時から心にとどめてきたことであるが、先輩方と若手の橋渡し役を使命の一つとして運営に取り組んできた。その思いはここにきて実を結びつつあり、基本的な活動は任せても差し障りないまでに若手が育っているので、とても頼もしく感じている。今後の大きなテーマとしては、組合の長きにわたる伝統と歴史を重んじながらも、移り変わる時代にマッチする活動を実施していくことが重要になる。先達の苦労の歴史の上に今の組合があるということを忘れずに、これからも若い人たちにますます頑張ってほしい。

【新年の抱負を】
組合活動については、今年もゴム・プラスチックにかかわる勉強会のほか新入社員向けの研修会、女性のためのセミナー、各種調査・データ編さん事業など会員企業と従業員の役に立つ取り組みに力を入れていく。また、今年は隔年開催の「商品展示説明会」を6月24日、都立産業貿易センター・台東館で開催する。賛助会員メーカーの注力製品をはじめ、組合員も多様な取扱商品の出展を予定しており、来場者の商品知識を高めることができる取り組みとして近年注目が高まっている。展示会終了後に別会場で開かれる懇親会では、親ぼく以外にも情報交換の場として好評を得ており、ビジネスマッチングにも活用してもらいたい。今年も多くの方に参加して頂いてにぎやかに開催していきたい。