2020年1月15日

中部工業用ゴム製品卸商業組合
新春トップインタビュー

メンバーが力を一つに
将来を担う若手社員の育成に貢献

【昨年を振り返って】
中部地区は、これまで自動車や工作機械など〝モノづくり産業〟が発展のけん引役となってきたが、景気の先行指標とされる工作機械の受注は特に中国向けが大きく減少しており、米中貿易摩擦の長期化の影響によって現地企業が設備投資を手控えていることが減速の一因となっている。ただ、国内の設備投資の動きを見ると決して悪くはなく、大きな物件は少ないものの、それなりに需要は推移した。自動車関係も中国は良くないが、国内の数字についてはまずまずといったところだ。しかしながら全体的には先行きの不透明感は強く、見通しの悪い状況が続いている。自動車は、〝CASE〟という言葉に象徴されている通り、車の構造自体が変わるとともに、ユーザーの車に対する意識や価値観もより変化していくと思われる。

また、キャッシュレス化の進展に伴って、もはや競争は自動車メーカー間、金融機関同士にとどまらない。自動運転・自動決済に不可欠なAIに強いIT企業が次々と参入しており、業界の境界線を超えたゲームチェンジの時代が到来している。そのような産業構造の変革は、ある意味で厳しい競争環境を形成するかもしれないが、見方を変えれば大きなチャンスにも成り得ると前向きに受け止めている。中小企業においても先見性を持って市場を見据え、守るものと変えるべき部分を明確にしながら、新たな市場創出に乗り出していく気概を持たないと事業を継続・発展していくことはなかなか難しい。組合員の意見を伺っていても、時代の変化に応じた決断と、今後の在り方を模索されている会社が増えているように感じている。

【今後の組合活動について】
組合企業は工場を構えてベルト・ホース製品の加工を手掛ける会社が多く、古くからモノづくりが盛んな土壌において、付加価値を付けた販売を行うことで顧客満足度の向上を目指してきた。しかしながら、基本的な取り組みだけではやがて縮小均衡に陥る可能性もあり、〝モノづくり改革〟を念頭に、創意工夫をもって新たな付加価値を生み出していく必要がある。AIやIoTが身近なところで導入・活用されていく中、〝創造〟は人が主導して担っていく仕事だととらえており、そういう業務をこなせるようになる人材育成を、組合の勉強会を通して実施していきたい。昨年は、これまでも継続してきた営業社員・新入社員研修、パソコン研修のほか、中部ベルトエンドレス工業会の協力を得て安全な作業に向けた講習会などを開いた。2018年の理事長就任以降、従来の組合事業を基本的に踏襲してきたが、今年もさらに組合に加入していて良かったと思って頂ける、参加者にとってメリットが大きい人材育成の事業を実施していきたい。一例としては、デジタル革命に対応するためのIT分野での勉強会や、ゴム・樹脂関連では新しい材料の講習会などを検討している。会社の規模や体制によっては、そういった社員教育を行うことが難しいケースもあり、組合事業の一環としてサポートしていくことで、各社の将来を担う若手社員の育成に貢献したい。

【企業視察の取り組みについて】
昨年10月、愛知県の「MRJミュージアム」および「あいち航空ミュージアム」を訪れ、三菱航空機の主導で開発・製造が進められている〝三菱スペースジェット〟の組み立て工程を見学したほか、県の航空機産業の歴史や機体の構造などを学んだ。また、第15回を数える「CGSビジネスミッション」では11月に1泊2日の行程で北陸地方に赴いた。当日はJRの広大な車両基地を見学したが、点検と整備作業が高い頻度で実に入念に行われており、日本が誇る新幹線の安全は、徹底した点検・整備に支えられていることを改めて実感した。次回の視察先については、引き続き国内で静岡県内での開催を考えている。当組合の静岡支部の協力を得ながら、時代に即する特徴的な取り組みを推進している企業を選定したい。

【周年行事を終えて】
昨年10月、多くの来賓と組合員・賛助会員の出席を得て、当組合創立40周年記念の講演会、式典、祝賀会を名古屋マリオットアソシアホテルで盛大に開催することができた。実行委員長を務めた前理事長の川島健一相談役をはじめ、副理事長の2人、理事の皆さんには運営面でご尽力頂き、持ち寄られた企画が大変素晴らしかったので、節目にふさわしい式典を挙行することができた。パーティーでは中部フィルハーモニー交響楽団の弦楽四重奏が祝賀ムードを一層盛り上げ、女性コーラスグループのあでやかなパフォーマンスが宴席に華を添えてくれたことも印象深かった。当組合は昔から和気あいあいと仲が良いことが持ち味で、各社の得意とする事業分野も多様なため、〝すみ分け〟が図られていることが親ぼくに大いに役立っている。これからもメンバーが力を一つに合わせながら、次の50年、60年につながる組合活動を進めていきたい。

【今年の抱負を】
組合事業においては、従来までの事業に加え、新たな領域での勉強会や他地区では盛んな〝商品説明会〟など、これまで手掛けてこなかった取り組みにもチャレンジしたい。組合をより活性化させるには、将来を担う若手が活動に積極的に参加してもらえるような組合にしていきたいと思いを新たにしている。中部地区では今まで二世、三世による若手経営者の会が存在しなかったので、組合活動への理解を早い段階から深めてもらうためにも、交流を深めながら互いを高め合える場を立ち上げていく。