2020年2月5日

日本触媒
輪島塗とコラボレーション

輪島塗とコラボレーション
光る輪島塗り「余光」共同制作

日本触媒(五嶋祐治朗社長)は、輪島キリモト(本社・石川県輪島市、代表者・桐本泰一氏)と共同で、日本触媒が開発した最先端技術である紙より薄いフィルム光源「iOLEDフィルム光源」と、日本古来の伝統工芸技術である螺鈿(らでん)を掛け合わせた他に類のない光る輪島塗「余光(よこう)」を制作した。螺鈿は、青貝の殻の内側の真珠色の光を放つ部分を薄くさまざまな形に切って漆器などの表面にはめ込んだ装飾で、伝統工芸として日本に古くから伝わっている。

iOLEDフィルム光源は、有機ELの長年の課題であった大気中の酸素や水分による素子の劣化を日本触媒とNHKとの共同開発による材料および素子技術「iOLED技術”」により克服、厚さ0・07㍉㍍と紙より薄く、高い柔軟性を実現している。昨年6月より日本触媒と輪島キリモトは、アートディレクターである四尾龍郎氏とともにiOLEDと輪島塗のコラボレーションを開始し、このほど螺鈿が発光するiOLEDが光を放つ輪島塗盃の余光が完成した。

余光は表面を薄くくり抜いた器に、貝殻薄片とiOLEDフィルム光源を貼り付け一体化したものをはめ込み、その表面に漆を一層塗って完成。漆を薄く何度も塗り重ねていくことで強く美しい塗膜を生み出すことが輪島塗の大きな特徴であり、螺鈿で扱う貝殻薄片もできるだけ薄いことが条件となる。iOLEDフィルム光源が厚さ0・07㍉㍍と紙よりも薄いことから貝殻薄片との一体化が実現した。

輪島キリモト8代目の桐本滉平氏は「日本触媒さんの開発したiOLEDという光源とのコラボレーションは、伝統工芸と最新テクノロジーの融合という前代未聞の挑戦だったが、iOLEDが限りなく薄いお陰で、薄い貝殻との一体化が可能となり、伝統的な技法でありながらも自ら発光する新たな螺鈿の発明が実現した。完成した盃を見たとき、手のひらの上に月を見たような感動を覚えた。道具でもあり、芸術でもある絶妙なバランスの表現が追求できたことに感無量で、伝統技術と最先端技術の融合には、これからの新たな豊かさのヒントを見つけられた気がしている」とコメントしている。

共同制作したiOLED×輪島塗盃の余光は、1月29~31日にかけて東京ビッグサイトで開催された「新機能性材料展2020」に出展した日本触媒のブースで展示された。