2020年3月25日

【ホース・チューブ・継手特集】
十川ゴム
エコジョーズ専用排水ガイドシステム

新たな販路に向けて

十川ゴムの事業展開における通期のホース類の実績は、前期比微減で落ち着くものと見込んでいる。品種別では、ゴムホースについては、当初暖冬の見通しから苦戦を予想していたが、ガス産業用が伸びを見せたことで前年の実績を上回った。その一方で、自動車産業用が減少、土木建設産業用、食品産業用関係も前年ほどの勢いはなく、樹脂ホースについても食品産業用の伸び幅が大きかったが、農業園芸産業用、住宅設備産業用が伸び悩んだ。

現状においては、年始から世界情勢の変化に1月中旬より若干の落ち着きを取り戻した気配がうかがえてきた矢先に、新型コロナウイルスの影響によって、一挙に世界的な景気低迷感が浮上。同社の中国子会社である紹興十川橡㬵においても、比較的好調な動きを示していながらも、新型コロナウイルスの猛威を避けて数日間の休暇延長を実施。そうした状況から、今後の中国国内における企業の稼働状況などの見通しは難しくなっている。

日本国内においては、需要面での大きな伸びが期待できる分野や好転の見込みはうかがえず、現状においては市況のムードも停滞。そういった局面にあって同社としては、現在開発中の特殊ケミカル系新ホースや、ユーザーとの機密保持契約を締結している製品開発などに力を注いでおり、一刻も早い完成と上市に向けての取り組みに力を注いでいる。中期的な海外戦略としては、東南アジア方面に向けて同社が手掛けている優位性を持った各種製品を展開、製品の認知度向上や拡販に向けて取り組んでいる。

現在抱えている課題としては、運送面における厳しい環境が浮上。ホース類は重量物であることから、運送業者からは歓迎されない傾向にあり、顧客ごとの運送業者の選択に苦慮している。配送の内容を問わない業者であっても、運送価格が大幅に割高になるなど条件的には困難。顧客に対する配送を、迅速に安定して実施できるよう、同社では常に配送経路の短縮や発送方法の変更などといった努力を継続している。苦渋の決断として、運送費の一部負担増の協力を申し出るなどの選択肢を視野に入れながら、顧客が要求する条件に適したデリバリーの追求に向けた模索を常に行っている。

同社における新しい製品への取り組みとしては、新たな販路に向けて「エコジョーズ専用ドレン排水ガイドシステム」の販売を実施している。

時代のすう勢としては、家庭におけるエネルギー消費の中で、給湯は全体の約3分の1を占めており、その省エネ化やCO2の削減による低炭素社会の実現に向けた取り組みとして、給湯器メーカーや各種関連企業・団体によってエコジョーズ化が進められている。そのようなエコジョーズの普及促進を背景に、ガス事業者の指導の下、同社ではエコジョーズ専用ドレン排水ガイドシステムを開発した。集合住宅におけるドレン排水の役割を果たすシステムで、これまでのドレン排水処理方法は、専用立管方式、三方弁ドレン方式、ドレンアップ方式が採用されていたが、平成24年3月に国土交通省よりドレン排水の取り扱いに関するガイドラインが新たに示され、各自治体の判断によって集合住宅における共用廊下および共用バルコニーの側溝において雨水と同じようにEJドレン水の排出ができるようになった。これにより、従来の工法に加え「ドレン排水ガイドシステム」によるドレン排水処理が可能となった。

エコジョーズ専用ドレン排水ガイドシステムは、給湯器から側溝までを結ぶドレンガイド、チューブ、ホルダーで構成されており、共用廊下における安全性および基本的な性能要求事項を満たすよう製品を設計。各種性能評価を実施し、耐久性においては床シートと同等の性能を備えた製品となっている。

現在、このシステムは、エコジョーズの普及促進が進められている状況にあって、部材単価が安価で工期が短く、簡易施工ができる施工面、複合的な使用環境における性能面の両方で評価が高まっており、ドレン排水処理工法の中でも有力な選択肢の一つとなっている。

同社としては今後も、エコジョーズ専用ドレン排水ガイドシステムといった新たな市場、製品展開に手を広げ、新しい挑戦に取り組むことで、顧客の要望にこたえられる製品の創出に向けた研究開発を積極的に推し進めていく。