2020年4月25日

積水化学工業
INCJと合弁会社設立

BRエタノール技術実用化へ

積水化学工業(加藤敬太社長)と、革新性を有する事業に対し出資等を行うことで産業革新を支援するINCJ(本社・東京都千代田区、勝又幹英社長)は、積水化学工業と米国ベンチャー企業のランザテック社が2017年に共同で開発した、微生物触媒を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術(以下、BRエタノール技術)の実証事業の実施および事業展開を行うことを目的として、合弁会社「積水バイオリファイナリー株式会社」を今月設立した。

合弁会社ではBRエタノール技術の実用化・事業化に向けた最終段階の実証を行うため、岩手県久慈市に実証プラントを新設し、21年度末に稼働を開始、実証事業を行う予定。実証プラントでは、標準的な規模のごみ処理施設が処理するごみの10分の1程度の量(約20㌧/日)を既存ごみ処理施設から譲り受けて原料とし、エタノールを生産する予定。また自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー等のパートナーを広く募るとともに、実証プラントで生産したエタノールを、本技術に関心を寄せている多くの業界の企業等に提供し、エタノールを活用するさまざまな製品・事業の検証を実施予定。これらの取り組みを経て、BRエタノール技術の本格事業化を目指す。積水化学工業、INCJの両社は、合弁会社におけるBRエタノール技術の実証事業等を通じて、社会課題の解決に寄与する究極の資源循環社会システムの創生に貢献していく。

BRエタノール技術の事業化および事業拡大や社会への普及のためには、原料となる廃棄物関連の行政を所管する自治体や民間企業などのパートナーとの強固な連携が不可欠。積水化学工業は経済産業省が所管する官民ファンドであるINCJの協力を得て、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー、エタノールを利用する企業など、パートナーとの強い協力関係を構築するとともに、関連省庁との協議や連携なども円滑に進めることを期待している。一方、INCJは産業や組織の壁を超えて、オープンイノベーションにより次世代の国富を担う産業を育成・創出することを基本方針としており、合弁会社への投資はINCJの基本理念と合致するものと考えている。また両社は、合弁会社を通じてBRエタノール技術の事業化および事業拡大を進めることで、日本各地における地方貢献や、カーボンリサイクルを通じたサーキュラーエコノミーの実現により社会課題解決に寄与するとともに、持続可能な社会の創生に貢献することを目指す。

積水バイオリファイナリーの概要は次の通り。
▽所在地=東京都港区虎ノ門2―10―4(積水化学東京本社内)▽代表者=代表取締役社長・両祖徹氏▽事業内容=BRエタノール技術の実証事業の実施およびBRエタノール技術の事業展開