2020年5月10日

朝日ラバー
第13次三カ年中期経営計画を策定

30年見据えたビジョン設定
売上高80~90億円へ

朝日ラバー(渡邉陽一郎社長)は、2021年3月期を初年度とする3カ年の成長戦略を明確化した「第13次三カ年中期経営計画」(20年4月~23年3月)を策定した。同時に同社らしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描く目的から、30年を見据えた長期ビジョン「AR―2030VISION」を設定。SGDs/ESG経営に根差したグローバルな社会問題に挑戦する企業として、経営基盤、技術基盤、事業基盤の確立を果たしていく。

17年4月~20年3月までを実行期間とした前中期経営計画では、経営方針として①ゴム技術・コア技術・製品力を成長させる②経営基盤を磨き成長を加速する――を掲げて、車載照明、医療・ライフサイエンス、その他の事業分野で社会に貢献する企業を目指して活動。定量目標のうち、連結売上高70~80億円を達成したものの、連結営業利益率8%には届かなかった。

第13次三カ年中期経営計画の中期経営方針としては”誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する”で、定量目標として、23年3月期において連結売上高80~90億円、連結営業利益率8%以上を目指す。同社の事業は自動車関連や医療関連をはじめ、独自の技術を駆使して社会に貢献できる市場を常に開拓。その範囲は国内だけでなく海外にも広がっており、将来の環境の変化の先行きを見通すことが難しくなっていることを踏まえ、連結売上高に関する目標数値を80~90億円と設定した。利益指標については、売上高に影響を及ぼす市場環境の変化に対応しながら、質的成長を目指す目的から、連結営業利益率を目標指標と定めた。

設備投資計画は約10億円(3年間累計計画)で、前中計において主要製品である「アサカラーLED」、RFIDタグ用ゴム製品、医療用ゴム製品への設備投資や環境整備を先行的に実施。今後の3年間では、これらの生産体制充実と、さらに新製品・開発製品に力を注ぎ、案件を早期に立ち上げるための開発投資も進めていく。

重点事業として4つの分野を設定。光学事業については〝感性、共感〟をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進める。海外の顧客へのアプローチを一段と進めていく目的から、白河工場において、自動車産業向けの品質マネジメントシステムであるIATF16949の認証を今年12月に取得する予定。主要製品はアサカラーLED(キャップ付きLED)、シリコーン製レンズ、白色シリコーンインキ、カラーフィルター、蛍光体応用製品などで、売上計画は約40億円。

医療・ライフサイエンス事業においては診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)向上に貢献。医療機器産業に向けた提案力を高める目的から、白河第二工場において医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485の認証の取得を今中期経営計画中に目指す。主要製品薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット、AR超薄膜シリコーンシート、ARチェックバルブ、マイクロ流体デバイスなどで売上目標は約15億円。

機能事業では、ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。主要製品は車載スイッチ用ラバー、感圧ラバーセンサ、F―TEM(フレキシブル・サーモス・エレクトリック・モジュール〓ゴムならではの柔軟性を持った同社独自のペルチェデバイス)、卓球ラケット用ラバー、気流制御電極開発で、売上目標は約21億円。

通信事業については、自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。主要製品はRFIDタグ用ゴム製品、ビーコン、コネクタ、伸縮配線、ラバーファントムなどで、売上目標は約12億円。

海外展開については、既にアメリカと中国に販売子会社と生産子会社を設置。重点事業分野において、同社製品の価値の認知度向上を図る目的から、積極的に海外市場へのアプローチを進めていく。価格競争に走るのではなく、ユーザーに密着した活動によって独自の価値を提供、顧客満足度向上により販売拡大につなげていく。子会社間のモノづくりと販売の連携をさらに強化させることで、グループとしての相乗効果を発揮できるよう進めていく。

新中計は、AR―2030VISIONの実現に向けての最初のステージであり、30年を見据えた経営基盤の構築、技術基盤、事業基盤の確立に向けての第一歩として踏み出す。