2020年5月30日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】フォルボ・ジークリング・ジャパン
Prosan新製品

用途の異なる2製品追加

フォルボ・ジークリング・ジャパンが手掛けるベルト関連事業の売上高は、新型コロナの感染拡大の影響もあり4月までは昨年比、予算比ともに数%減で推移した。利益面でも減少しており、ほとんどの需要業界に対して全体的に予算に対して未達。今後の動向については不透明な部分が多いことから、同社では主要業界である食品や物流分野を中心に、今後の動向を注視していく。

本年6月にHACCP義務化の法令が施行されるが、コンベヤベルトにおいても一段と洗浄性に優れ、異物混入のリスクが少ない製品を望むニーズが拡大。同社では売上高で対前年(2019年)度比約13%増と、着実にユーザーを拡大し続けるフルシール仕様の「Prosan(プロサン)」を中心に、HACCPコンセプトを支援する各種コンベヤベルトに力を注いでいく。

「Professional Sanitary(卓越した衛生性)」を意味するProsanは、搬送面に加え、下面(駆動面)や側面まで耐湿熱性のポリウレタンでコーティングを施している構造が最大の特徴。食品の水分や油などが浸透する心配がなく、常に水洗いが可能で、耐熱性にも優れていることから、高温水洗浄にも対応する。洗浄後の乾きも早く、素材そのものに抗菌効果が備わっている。下面(駆動面)には特殊低摩擦凸型パターンを採用。低摩擦係数でテーブル走行を可能にしており、目詰まりにも効果を発揮することから清掃も容易にしている。従来の「高柔軟性シリーズ」「高張力シリーズ」など合計8種類に加え、今回用途の異なる新たな2製品を追加。より幅広い用途での使用が可能になっている。

Prosanの新たな製品は、表面に横溝パターンを採用。食品の傾斜搬送や位置決め、一般搬送での小さな部品やかさ物搬送用の水平・傾斜搬送で効果を発揮する。もう一つは、表面に粗い布目パターンを施しており、フードスライサーに適している。いずれの製品も従来のProsanと同様に厚生省告示第370号に適合、HACCPコンセプトもサポートしている。

同社の非粘着ベルト全体の売上高は、前年(19年)度比で約20%増と高い成長率を達成。従来のシリコンやPTFEの非粘着ベルトに加え、非粘着性ポリウレタンの製品を追加した。非粘着性ポリウレタンベルトは非粘着性が高く、練り生地やご飯など常温の粘着物の搬送に最適。屈曲性と柔軟性が比較的高い非粘着性ポリウレタンを使用していることから、小プーリ径にも対応し、小さい粘着物の乗り移りの円滑さも備えている。

新しい非粘着性ポリウレタンベルトの表面(搬送面)には、Prosanの裏面と同じ特殊低摩擦凸型パターンを採用。これにより、搬送物の離型性が高いだけでなく、目詰まりの抑制効果で清掃も容易にしている。こちらの製品も厚生省告示第370号に適合しており、HACCPコンセプトもサポートしている。

新型コロナウイルスの感染拡大で「FOOMA JAPAN2020大阪(国際食品工業展)」の中止が決まったが、主催者である日本食品機械工業会では、公式ウェブサイトで出展予定企業の製品・サービスを紹介する企画を準備中。同社が出展を予定していた製品は、ProsanフルシールHACCPシリーズ(両面耐湿熱性ウレタンコーティング)、プロリンクシリーズ15(ピッチ12・7㍉直進ベルト)、エクストレマルタス食品包装産業向けブルーエラスチックベルトなど。見どころとしてはトランジロン、エクストレマルタス、プロリンクをはじめとした独自の特性や機能性を備えた最新製品の数々。

同社では、年々重要度が増している〝食の安心・安全〟に対して、革新的な開発力と迅速で柔軟な対応力で市場のニーズにこたえながら、社会に貢献してきた。90年代前半に欧州でHACCPが急速に拡大した情勢に伴い、フォルボ・ジークリング・ドイツ本社でも時代の潮流に乗りHACCPに対応した製品開発を実施。日本では他社に先駆けて02年からドイツ製HACCP対応ベルトの国内販売を展開してきた。同社では「長年HACCPコンセプトをサポートしてきた当社だからこそできる提案があると思うので、気軽に相談を持ち掛けてほしい」と呼びかけている。