2020年6月10日

住友ゴム工業
「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の融資契約をゴム業界で初めて締結

SDGs達成への取り組み評価

住友ゴム工業(山本悟社長)は、三井住友信託銀行(橋本勝社長)との間で、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ)」の融資契約をゴム製品業界で初めて締結した。住友ゴム工業のSDGs達成に向けた取り組みが評価された。

ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資を実行している。SDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用して開示することが最大の特長。評価を得た取り組みは、2008年から〝グリーン(緑化)〟〝エコロジー(事業活動の環境負荷低減)〟〝ネクスト(次世代型技術・製品の開発)〟〝カインドネス(人にやさしい諸施策)〟〝インテグリティ(ステークホルダーへの誠実さ)〟の5つの枠組みからなるCSRガイドライン「GENKI」を掲げ、積極的にサステナビリティ活動を推進。今年2月に公表した新中期経営計画において「ESG経営の推進」を掲げ、事業活動を通じたSDGs達成への取り組みを推進してきた実績が評価された。

同社の取り組みと、特にSDGsの目標達成にインパクトを与える活動として、各種テーマについて定性的・定量的に評価を得た。

緑化のテーマでは、地球温暖化防止と生物多様性保全の下、植樹によるCO2吸収量をKPI(目標と指数)として、算出方法を確立した上で目標値を策定。事業活動の環境負荷低減のテーマでは、低炭素社会の構築ならびに循環型社会の形成において、KPIとして22年度に05年度比でグローバルのタイヤ1本当たりのライフサイクルCO2排出量を14%以上削減、全生産拠点の完全ゼロエミッション(再資源化目的で処理された廃棄物の再資源化割合100%と埋立処分量ゼロ)の達成と継続を推し進める。次世代技術・製品の開発のテーマの下では、「安全・快適」「経済性」「品質」の追求、環境配慮商品の開発では、KPIとして30年までに全技術を投入して〝スマート・タイヤ・コンセプト〟を完成させ、交通事故のない世界を実現させる。制振事業を25年度に19年度比160%拡大し、ゴムの技術で地震から人、家、未来を守る。サプライチェーンマネジメントのテーマにおいては、持続可能な天然ゴムの実現のKPIとしては、住友ゴムグループ〝持続可能な天然ゴム方針〟に沿ったステークホルダーとの連携による取り組みの推進を図る。

実際の取り組みとしては、セルロースナノファイバーを世界で初めてタイヤ用ゴムに採用した「エナセーブ・ネクストⅢ」を昨年12月に発売し、環境負荷低減に貢献。活動としては、生物多様性保全活動の一環として、市島工場で国蝶のオオムラサキを育成し、毎年近隣の児童を招待し観察会を実施している。

今回の件は、日本格付研究所から本件評価にかかる手続きのポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性について第三者意見を取得している。

住友ゴムグループは、ポジティブ・インパクト・ファイナンス契約締結により、SDGsの目標達成へ向けた取り組みをより一層強化し、中長期的な企業価値の向上を引き続き目指していく。