2020年6月15日

日本金型工業会
5つの取り組みに注力

日本金型工業会は6月5日、「第8回定時総会」をオンラインによるウェブ会議で開催した。

例年は会場を準備し、会員の参加者が一堂に会して議事進行を行っていたが、今回は新型コロナウイルス感染予防の観点から、限られた参加者のみが参加する形式で、ウェブによるライブ配信によって実施することが理事会で承認された。当日の参加者は委任状出席が不可能な会員、臨時理事会の開催予定の都合から次期理事候補者、次期監事候補者のみに限定。ウェブ会議による総会開催は今回が初めて。

開会のあいさつに立った小出悟会長(小出製作所)は「令和2年の総会がまさかウェブ会議システムによる開催になるとは想像もしていなかった。新型コロナウイルス感染拡大が招いた危機的、災厄的な状況の総会であることを、正会員ならびに賛助会員の皆さんに理解と賛同を頂けたことに心より厚く御礼申し上げたい。コロナの影響がどこまで続き、従来の活動ができない状態をどこまで続けざるを得ないのか、不安に駆られる状況ながら、そうした中でもウェブ会議システムの実用化には少し光明が見えたようにも感じる。もともと令和2年は変化が始まり進む時代であると言われており、コロナ禍によって半ば強制的に仕向けられている状況ながら、これを前向きに受け入れることこそ、今は肝要なことだと強く感じている。そこで本年度の当会の活動方針として、活動に制限はあるものの、4つの取り組みに力を注いでいきい。一つ目は、令和時代の新金型産業ビジョンの発布で、これにはコロナ禍の教訓を織り込む。二つ目はウェブ会議システムの率先的利用により使いこなす。そして三つ目はサイバー時代に対応した技術等情報管理認証機関に当工業会があたる意義の再確認と努力(会員企業の他国・他社との差別化支援)を行う。最後にウェブ・ネットを有効利用した新しいスタイルの会合・人材育成事業による会員増強への取り組み(特に遠方の企業向け)に力を入れていきたい。

本年度はコロナ禍の影響とは言え、新鮮な目線の提供と画期的な取り組みへの気付きを得たことに感謝しながら、内容の一つひとつを丁寧に取り組んでいきたいと思う。ポジティブに全会員企業と意思疎通を図りながら、皆さんのお役に立てるようしっかりと活動していきたい」と意欲を示した。

議案審議に入り、第1号議案「令和元年度事業報告の承認を求める件」、第2議案である「令和元年度決算報告の承認を求める件ならびに監査報告の件」、第4号議案である「令和2年度事業計画案の承認を求める件」、第5号議案の「令和2年度収支予算案の承認を求める件」に関しては、いずれも原案通り可決された。

第3号議案である「任期満了に伴う理事・監事選任に関する件」については、役員の改選に向けて臨時理事会を開催。審議の結果、小出会長ならびに副会長の鈴木教義氏(鈴木、東部支部長)、山田徹志氏(日章、中部支部長)、山中雅仁氏(ナカヤマゴーキン、関西支部長)、小泉秀樹氏(ペッカー精工、東部支部推薦)、岩渕学氏(共和工業、会長推薦)、早瀬實氏(ナガラ、会長推薦)の5人も重任。副会長として新たに西部支部推薦の河野允熙氏(東洋金型工業)が加わった。

技術委員長の平林巧造氏(サイべックコーポレーション)、経営労務委員長の迫田幸博氏(エムエス製作所)、国際委員長の池上正信氏(池上金型工業)、総務財務委員長の山田徹志氏は継続、新たに広報委員長として小泉秀樹氏、認証委員長として小出会長が務める陣容となった。専務理事も引き続き中里栄氏が工業会業務にあたる。

令和2年度の事業計画としては、緊急基本方針として〝新型コロナウイルス感染拡大対応方針〟を立案。世界全体が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、現状では日本国内においても終息の見通しが立てられていないのが現状。終息後の金型業界への影響も全く見通しがつかない状態であり、本年度の日本金型工業会としては、緊急事態として新たに①緊急事態対応活動を最優先する(緊急会長特命)②令和2年度事業計画案・予算案(3月理事会承認)を実施可能な範囲で履行する③令和2年度事業計画実施にテレビ会議システムを積極的に有効利用する④テレビ会議システムを有効利用した新規事業を積極的に創造して実践する⑤今回の緊急事態の教訓を今後の事業に反映させていくための検討を行う——といった内容を緊急基本方針として盛り込んだ。