2020年7月15日

ホッティーポリマー
LAMシリコーン3Dプリンター発売

世界初のシリコーン100%
迅速に試作品作成

ホッティーポリマー(堀田秀敏社長)は7月1日から、独・German RepRap社のLAM(液体積層造形法)3Dプリンターの販売を開始した。同機の革新的なLAM方式は、液状シリコーンゴム(LSR)をFDM(熱溶解積層方式)と同様にエクストルーダーで押し出して積層、高温のハロゲンランプにより熱架橋させながら造形するこれまでにない3Dプリンティング方式。LSRの使用を可能にした3Dプリンターは業界では史上初となる。

同社では主力のゴム・樹脂の押出製品と並行して、近年では3Dプリンター関連事業も推進。フィラメント材料の開発上市をはじめ、MEX(材料押し出し)方式の入門機や業務用機種の販売のほか、それらの3Dプリンターを用いた受託加工も手掛けている。今回、German RepRap社の代理店として新機種「L320」の導入に至った決め手については、「当社は従来からシリコーンゴムの押出成形品を生産してきたが、(3Dプリンターで)シリコーンゴムを造形できることが大変興味深く画期的だった。今後の展開に新たな可能性を見いだしている」(堀田社長)と話す。

プリント材料にはダウ・東レの「SILASTICTM3D3335」液状シリコーンゴムを使用。材料特性において特筆すべき点は、アクリル硬化剤を含まずUV架橋でもない熱硬化型のシリコーンで、射出成形とほとんど同一の物性の造形品を生み出すことができる。金型などが不要なことからコストの削減効果が見込め、迅速な試作品の作成を実現。出来栄えは射出成形とそん色のない物性を示すため、初期サンプルとして用いることが可能で、LIM成形による量産プロセスへの移行がよりスムーズになるという。

LAM方式のもう一つの大きなメリットは、従来の製造方法では加工が難しかった形状も可能にしたこと。材料吐出の正確な制御によってクロス、格子、ハニカム構造など高度かつ複雑な造形にも適応。材料の調合次第で柔軟な製品と硬い製品の両方が作成でき、ユーザーの用途と着想に応じて同機の可能性はさらに広がると同社は自信をにじませる。

シリコーンゴムは雑貨から医療分野、建設関連、自動車、電子機器に至るまで実にさまざまな製品で使用されている。同社ではこれまでの3Dプリンター事業で培ってきた実績と知見を生かし、主戦場であるゴム・樹脂業界のユーザーに向けてL320の販売展開を強化する考え。同機を使用した受託加工はもちろんのこと、自社生産によるフィラメントや3Dプリンターの販売も推進。販売後の技術支援サービスも一層充実しながら、トータルで顧客をフォローする〝3Dプリンターの総合コンサルタント〟としての事業展開を加速させていく。

なお、ホッティーポリマーでは同社の久喜工場においてL320による造形の見学を随時受け付けている。同機の稼働状況の見学などの問い合わせは、電話(03・3614・4100)またはEメール(hotty@hotty.co.jp)で。

【German RepRap L320の仕様】
▽造形サイズ=250×320×150㎜▽印刷速度=10―150㎜/秒▽移動速度=10―300㎜/秒▽位置精度(X/Y)=+/− 0・2㎜▽層の高さ(最小)=0・22―0・9㎜▽ノズルの種類=0・23、0・4、0・8㎜▽押出機=リフト&サンクシステム、体積押し出し▽ファイル転送=USBスティック使用、スタンドアローン、タッチ式ディスプレイ搭載、イーサネット▽ソフトウエア=Simplify3D▽ディスプレイ=15・6㌅タッチディスプレイ▽動作電圧=100VAC(交流電圧)▽装置寸法(幅/奥行/高さ)=プリンター(カートリッジシステムとディスプレイを含めない)800×960×1957㎜(片開きドア、標準寸法に適合)▽重量=約350㎏(カートリッジシステムを含めない)▽技術=LAM(液体積層造形)▽ハードウエア=扱いが容易な産業用ローラーとスタンド
 前記仕様については、オプション/材料によって異なる場合有り。