2020年7月25日

昭和電工
高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラーを開発

アンモニアの発生を1万分の1に

昭和電工(森川宏平社長)は、半導体デバイス等の放熱フィラー用の高耐湿・高熱伝導窒化アルミニウムフィラー(以下、窒化アルミフィラー)を開発し、サンプル提供を開始した。

半導体の高性能化によってデバイス内で発生する熱は増加しているものの、デバイス自体の小型化、高集積化の進展で、発生した熱を外部に放熱することが困難になってきている。蓄積された熱はデバイスそのものだけでなく、これらを組み込んだ電子機器の性能の低下や信頼性や安全性に影響を及ぼす恐れがあり、こうした熱による悪影響を避けるため、発生した熱をいかに素早く除去するかが非常に重要な課題となっている。

窒化アルミニウムは高い絶縁性、シリコンと同程度の熱膨張係数、半導体製造時に使用される塩素系ガスに対する耐性といった優れた特性を有している。また、アルミナや窒化ホウ素などの他のフィラー材料に比べて熱伝導率にも優れているが、水分が付着すると加水分解を起こして腐食性のアンモニアが発生することが問題となっていた。同社では、窒化アルミニウムの表面に独自の極薄膜による表面処理を行うことによって、樹脂に充てんしたときの熱伝導率を低下させることなく、表面処理をしていない窒化アルミニウムに比べてアンモニアの発生を1万分の1に抑えることが可能となり、高耐湿性・高熱伝導性を有する窒化アルミフィラーの開発に成功した。今後サンプル提供を通じて市場を開拓し、2023年から量産を開始する計画。