2020年8月25日

ブリヂストン
ソリューション事業を拡大推進

顧客の利便性重視
鉱山ソリューション 重要領域に

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は、「中長期事業戦略」において、同社の今後の成長エンジンとして、ソリューション事業の拡大推進を目標に定めた。8月7日に開催され、ウェブによる2020年12月期第2四半期決算説明会の記者会見の場で概要解説を行った。同社では今後、コア事業とのスパイラルアップ加速を図りながら新しく成長させる事業として〝ソリューション〟におけるビジネスモデルを意欲的に推進。タイヤそのものを売り切る従来のビジネスの流れから、顧客の利便性を重視する方向性でサービス向上を図る形態を補完・強化し、ビジネスモデルとしての先鋭化を図る。商用車系(北米、日本、豪州)、鉱山(北米、豪州)を視野に展開。「鉱山用タイヤの世界市場のシェアは、当社ともう一社の企業との2社で占めている。断トツの企業を目指すわれわれにとっては断トツの商品とソリューションでポテンシャルを発揮する」(石橋CEO)。システム価値や新しい高付加価値を創造し、タイヤ・ゴム事業の強みを生かしながら、成長事業における包括的な内容を見直し、ソリューション事業への進化を図る。

昨年のグループ連結売上高は3兆5250億円。このうち成長事業の売上高は全体の15%にあたる5250億円で、内訳は直営小売店サービスの売上高は3500億円で乗用車系(北米・日本・タイ)3260億円、商用車系(北米・日本・豪州)140億円、鉱山(北米・豪州)100億円。TB(トラック・バス用タイヤ)リトレッド売上高(グローバル)は1050億円。ソリューションビジネス形態売上高(タイヤ単体売り切りでない新たなビジネス形態。航空機タイヤソリューション、トラックタイヤマイレージ売り上げ、サブスクリプション(moboⅩ)、ウェブフリートソリューションなど)は700億円。特に、ソリューション事業は環境変化に強くレジリアントなビジネスで、営業利益率も高い傾向にある。19年12月期のタイヤ事業別営業利益率でも、PS(乗用車用)/LT(ライトトラック用)が10・4%、TB(トラック・バス用)9・9%、ほぼソリューション事業財で占められるOR(鉱山用)、AC(航空機用)、AG(農業機械用)、MC(二輪用)が22・9%と、大きく他事業財との差を開けている。

同社では、そのセグメント領域の重要な一角として〝鉱山ソリューション〟を強力な牙城として設定。鉱山ソリューションの主役の役割を果たす鉱山用タイヤの新商品として「マスターコア」を発売する(2面に詳細記事)。直径数㍍にも及ぶ鉱山用タイヤは、タイヤ市場の中でも特殊な領域としての厳しい要求項目が積み上がっている。鉱山車両用タイヤに求められるキャパシティーとしては、平均的に6つのタイヤが車両本体重量240㌧に積み荷重量360㌧の合計600㌧の重量を支えて駆動する。求められる課題としては、車両運搬効率の向上であり、より多くの鉱石を少しでも速く運搬する実働率の向上。同社では本年6月に買収したiTrackソリューション事業を新戦力として鉱山ソリューション事業を一段と強力に推進、デジタル人財約40人を新たな仲間として加えることでDX(デジタル変革)をさらに加速、コラボレーションによる効果を引き出す。

タイヤの熱・内圧の鉱山用タイヤのモニタリング機能は、これまでも実施されていたが、新たにリアルタイム遠隔モニタリング体制を構築。24時間365日体制でのモニタリング体制を敷き、速度、位置情報といった運行データをリアルタイムで入手することで、車両の安全運行、タイヤ性能の最大活用の実現を追求する。その一方で、作業レイアウトのカーブやこう配角度、車両オペレーションの効率分析を実行し、最適ルートやレイアウトの提案を行う。何よりも顧客ごとにカスタマイズしたサービスを提供することで断トツ商品、サービス、ネットワークへとつなげ、独自のソリューションを開発・展開していく。