2020年10月5日

日本触媒
リチウムイオン電池用の新規電解質の設備を増強

日本触媒(五嶋祐治朗社長)は、リチウムイオン電池用の新規電解質「イオネル~リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド〈LiFSI〉」の増大する需要に対して、既存設備の年間生産能力300㌧では不足するため、独自プロセスによる新規製造設備の建設に向けて10月1日付けで「イオネル建設チーム」を設置し、設備設計に入ることを決定した。

近年、環境問題への意識の高まりから省エネ・低公害の次世代自動車の代表的存在である電気自動車(EV)に対する期待は高く、EV市場は着実に拡大している。イオネルをEV向けリチウムイオン電池の電解質に使用することによって、低温~高温まで広い温度範囲で電池のサイクル特性、レート特性、保存安定性の向上に著しい効果を発揮することから、電解質の添加剤用に限らず主剤として採用され、イオネルの需要がアジアを中心に拡大している。さらに、全固体電池などの次世代革新電池の電解質としても性能向上に効果を発揮することから、需要のさらなる拡大が期待されている。

LiFSIは高純度化が困難な物質で、その生産や品質管理には高度なノウハウが必要とされるが、日本触媒はこれまで培ってきた独自の生産技術力を生かし、年間2000㌧を安定生産する技術を確立した。また、イオネルは同社特許により保護された高純度LiFSIであり、品質面・価格面・知財面において安心して使用できる製品となっている。

日触テクノファインケミカル内に設けられる新規製造設備の商業生産は2023年の春をめどに開始される予定で、24年には100億円超の売上高を目指す。

なお、LiFSI市場は世界的に拡大することが想定されていることから25年以降の需要に対応するため、欧州での新規設備投資計画も検討されている。

【日触テクノファインケミカルの概要】
▽本社・工場所在地=千葉県市川市高谷新町9―1▽設立年月日=1954年12月27日▽資本金=9000万円▽主要株主=日本触媒(株式の96・83%を保有)▽営業内容=化学工業薬品の製造、販売および受託加工業務▽従業員=98人