2020年10月5日

住友理工
住友理工ー産総研 先進高分子デバイス連携研究室を設立

互いの強みを融合
生活の安全や快適に寄与

住友理工(清水和志社長)と産業技術総合研究所(石村和彦理事長、以下、産総研)は共同で10月1日、産総研のつくばセンター内に「住友理工―産総研 先進高分子デバイス連携研究室」を設立した。

近年、自動車業界はCASEをはじめ、従来にない全く新しい機能や役割を自動車に付与する100年に一度の大変革期を迎えている。住友理工は、これらCASEの進展によって生まれるニーズをビジネスチャンスとして取り込むため、主力製品である防振ゴムやホースの研究開発で積み重ねてきたコアコンピタンス「高分子材料技術」「総合評価技術」を他分野にも応用し、ハンドルやシートなどへの圧力や接触を検知・可視化するセンシングデバイス技術を開発するなど、このパラダイムシフトにこたえうる技術・製品を生み出してきた。

今回提携する産総研の情報・人間工学領域ヒューマンモビリティ研究センターは、人を計測し理解するための基盤研究の下に、自動車の運転支援や自動運転技術はもとより、歩行から公共交通機関までさまざまな移動手段を対象とした移動支援技術と移動価値向上技術の研究開発を行うとともに、モビリティを人間中心に全体最適化することで、あらゆる人々のライフスペースの拡大を図っている。

今回設立された連携研究室は、住友理工が培ってきた先進技術と産総研の研究開発の成果を融合することにより、生活全般における人々の安全・安心・快適に寄与することを目的としている。具体的には、センシングデバイスを実装した車両を用いて、実際の走行を再現した実験研究を行い、生体の情報や状態をどこまで推定可能かを明らかにする。その中で総合評価技術の高度化(数値化が難しい乗員の主観的な乗り心地や運転の快適性(官能)を客観的に測定・評価することを目指した先端的官能定量化技術やデータ解析技術の深化、既存技術とデジタルの融合による技術革新)を図り、開発途上にある各種技術を確立して高付加価値の製品群とソリューションを創出することで、グローバル・システムサプライヤーとしてモビリティ社会のさらなる発展に貢献することを目指す。

研究開発課題の具体例としてはドライバーモニタリングシステムが挙げられる。「スマートラバー(SR)センサ」をシートに内蔵、もしくはクッション形状に加工してシートの座面に設置し、SRセンサで計測した座面の圧力変化からドライバーの心拍・呼吸・体の動きなどを検知。その結果から、疲労や居眠り、急病予兆などドライバーの状態を推定し、警告や運転支援システムの作動、外部への通報などのサービスへつなげる。

自動運転の安全性確保に寄与するステアリングタッチセンサーと、入力を検知するとさまざまな振動で伝えるハプティクスインターフェース。いずれも、柔軟で電気を通すSRセンサを活用したセンシングデバイスで、ドライバーモニタリングシステム同様、製品化に向けた技術開発を加速させている。

【連携研究室の概要】
▽場所=産総研つくばセンター(茨城県つくば市)▽研究体制=連携研究室長・加藤陽氏(住友理工)、副連携研究室長・平尾章成氏、佐藤稔久氏(産総研情報・人間工学領域ヒューマンモビリティ研究センター)▽人員=12人程度