2020年11月25日

ブリヂストン
重要な改革ポイントにHRX

来年1月新しい人事制度へ移行

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は11月12日、ウェブによる会見を開き、「中長期事業戦略」を軸とした中期事業計画(2021年~23年)の中長期事業戦略進ちょく状況を説明した。進ちょく状況の経過報告は今回が3度目で、既に事業戦略構想のテーマごとに〝全体像〟〝技術イノベーション〟の詳細について適時公表。今回は〝稼ぐ力の再構築〟をテーマに取り上げて説明し、特にHRX(ヒューマン・リソース・トランスフォーメーション=中長期事業戦略実行化を支える人事・組織)を重要な改革ポイントとして説明が進められた。

同社では、来年1月1日に経営執行体制を変更し、新しい人事制度へ移行する。シンプルでクリーンな体制・組織に刷新することで意思決定の迅速化を図り、新しい人事制度の下で人財ポートフォリオの明確化と人財の最適配置、新たな人財育成の取り組みを進める。ブリヂストン流のHRXとして、中長期事業戦略実行化のための組織能力(組織×人財アウトプット)最大化、ビジョン実現に向けての多様な人財、次世代グローバル経営人財の成長・活躍を促進、経営体質の強化につなげていく。

キャッシュオリエンテッド経営の観点から、稼ぐ力の再構築として戦略的成長投資を積極的に実施し、経費・コスト構造改革に向けて継続的な経費(営業費)削減、事業再編(21~22年に集中)、生産拠点再編、リソース再配分を実施し、変革後に強いブリヂストンに生まれ変わる。オペレーションエクセレンスとして、プレミアムビジネス戦略強化(EtoE)を図る。

HRXはその一環で、中長期事業戦略と連動した制度見直し、リソース最適化による固定費削減策として、報酬制度見直しを海外SBUでは、各地域で順次実施、グローバル本社では役員報酬など組織改革を含めた見直しに取り組み、この2年間で30億円の削減を図る。戦略的リソース再配分・組織リストラクチャリングにおいては、海外SBUでは早期退職プログラムを取り入れるほか、コア事業・成長事業のリソース再配分・組織再編、事務管理系業務の外注化、シェアードサービス化を各段階で推進し、90億円を削減する。新しい働き方と連動したオフィス統合などに取り組み、日本の首都圏・大都市オフィス統合・再編は来年から、海外SBU各地域においては本年よりオフィス統合の実施に踏み切る。この再編・統合により10億円のコストダウンを見込んでおり、計画の2年間で約130億円の削減効果を引き出す。

HRXにおける日本での新人事政策として、シンプル/リーンな組織設計で役割・責任明確化、組織・意思決定を太く・短く・早く・シンプルに変革させる。組織階層を5階層から3階層へとシンプル化。執行役員制度を廃止し、ライン長ポジションを2割削減する。経営層は常務役員以上の人員を60人から20人レベルに削減。常務役員任期を1年とし、役割責任を明確にする目的から任命書を発行する。ライン長とスペシャリストの分離を行い、個人の知見・経験で事業に貢献するスペシャリスト職を新設し、ライン長とスペシャリストといったポジション間のフレキシブルな人財活用を推進する。コア事業ポジション削減によりリソース創出、成長事業へと再配分を行う。

ポジションと人財のマッチング政策として、ジョブ型コンセプトを導入、メンバーシップ型と合わせて、ブリヂストン流のハイブリッド型制度を模索する。評価基準・プロセスを明確化し、要件に沿った正当な評価を行い、役員・基幹職は年功序列型の評価と報酬制度を廃止し、ポジション主義・360度評価などによる基準に切り替える。スタッフ職については定期昇給制度を廃止し、成果・成長ベースによる新評価制度を導入する。

新たな人財育成の取り組みとしては、組織力担保(後任配置)を主目的としてバラつきの最小化に取り組む。個の最大化を図り、個のパワーアップを主な目的として、個にカスタマイズした育成を行い、自ら学び取ることを重視する。人財要件に即した育成プログラム設計、機会提供を実施。戦略起点の人財要件の明確化に加え、実践による実力養成を育成の中心に据えたプログラム・機会の創出(現場経験含む)し、育成手段の明確化につなげる。経営トップや部門トップは、責任を伴った育成機会の付与、次世代グローバル経営人財候補の選抜や育成に取り組む。人財面のダイバーシティとインクルージョンの推進に向けては、中長期事業戦略に沿った多様な人財の育成・登用を行い、女性活躍推進への対策としては、女性基幹職登用や外部採用強化、メンター制度などといったサポート体制を整備することで体制の歩みを進める。多様化により、ソリューション政策の盤石化にも努める。