2020年11月25日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】フォルボ・ジークリング
中食産業向けは増大

物流もネット通販が追い風

フォルボ・ジークリング・ジャパンのベルト関連事業の今期(2020年12月期)の業況は、9月までの売上高は昨年比、予算比ともに10%減で推移した。主力の食品分野と物流関係においては、これまでコンスタントな売り上げを確保しているものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、特に5月、8月の売り上げが伸び悩んだことで、昨年同期の実績に届かなかった。食品関連ではベーカリー、土産品分野、外食産業における販売が前年と一転して振るわなかったものの、コンビニエンスストア、スーパーなどでの中食産業向けの需要が新型コロナによる外出自粛で増大。惣菜などを手掛けるユーザーの製造ラインが安定的な稼働を継続したことで、苦戦を強いられた食品分野の中でも中食関係はおおむね好調をキープしている。一方、もう一つの柱である物流関係については、ネット通販市場の拡大を追い風に好調を維持。物流施設の新設・増設案件やコンベヤ機器メーカーのOEM案件を獲得したことも売り上げを後押ししており、〝ウィズコロナ時代〟の到来を背景に、さらなる成長を同社では見込んでいる。

直近の状況としては、食品関係も含めて全体的な需要が徐々に盛り返してきており、営業担当者の日ごろの活動もコロナ禍以前のレベルで展開していることで、改めて売り上げを伸ばしていくことに専念している。しかしながら、先行きは依然不透明な状況が続いており、同社では昨年並みの販売を達成することを念頭に置きながら、全社が一丸となって業務にまい進している。

引き続き、食品業界向けに注力するのは戦略商品である「Prosan(プロサン)」シリーズ。同シリーズにおいては、対前年比で23%増の高い成長率を継続。今年6月、HACCP義務化の法令が施行されたこともあって、ベルト表面に全方位でコーティングを施した「ProsanフルシールHACCP」は、顧客の〝食の安心・安全〟により有効な手段として支持が拡大している。搬送面はもちろん、下面(駆動面)、側面まで耐湿熱製のポリウレタンでコーティング。食品の水分や油などが浸透する心配がなく、常に水洗いが可能で、耐熱性にも優れているため高温水洗浄にも対応する。さらに、洗浄後の乾きも早く、素材自体にも抗菌効果を付与した。従来からの〝高柔軟シリーズ〟〝高張力シリーズ〟など合計8製品に加え、用途の異なる2製品を新たに追加して品ぞろえも拡充。食品の傾斜搬送などで効果を発揮する横溝パターンの製品や、フードスライサーに適している粗い布目パターンの製品で、いずれの製品も従来のProsanと同じく厚生省告示第370号に適合。HACCPコンセプトもサポートしている。

近年同社では、独・本社でも打ち出している戦略を取り入れてデジタル化をさらに推進。社内のシステム構築、ホームページの充実のほか、製品カタログのデータによる提供への移行など、今般のコロナ感染拡大を契機に、より新しい仕事への取り組み方を模索している。国内の営業面では顧客と対面による打ち合わせをはじめ、急速な転換を図ることは難しい側面もあるが、新しい様式とツールを積極的に活用しながら、販促活動を推進していく考え。

また、日本法人として独自の新たなビジョンも制定。新ビジョンでは「最高のムーブメント 躍進し続けるイノベーションカンパニー」と今後の意気込みを掲げており、これにはより最高の製品・サービスを提供し続け、「お客様の最良のパートナーとして、一緒に成長していきたい」という同社の真しな思いが込められている。