2020年11月25日

【ホースメーカー八興の現状・展開】
半導体、医療機器は堅調

国内外の販売強化へWEB活用

樹脂ホース・チューブ・継手の専門メーカーである八興の今期(2021年3月期)の現状は、上期の売り上げは前年同期比2ケタの減収となった。今期がスタートした時点では、まだ新型コロナ感染拡大の影響は表れなかったが、5月以降は販売にかげりが表れ始め、その後8月までは非常に苦戦を強いられた。需要業界ごとの動向では、比較的堅調さを維持している半導体および医療機器関係以外は低調に推移。主力である飲料および食品関係においても、コロナ禍に起因する〝ステイホーム〟を契機に一部で活気を見せた市場もあったものの、ほとんどの分野で前年実績を下回った。しかしながら、9月以降はようやく需要が上向きになり、下期がスタートしてからも回復基調は継続。まだコロナ禍以前の水準には戻ってはいないものの、この勢いを継続することで下期の販売は数%程度の減少に落ち着くと同社では見込んでいる。

戻りつつある需要を着実に取り込んでいくために引き続き注力する製品は、主力の「柔軟フッ素ホースシリーズ」と「導電スーパー柔軟フッ素ホースシリーズ」。特に導電スーパー柔軟フッ素ホースについてはアルコール、香料、有機溶剤といった可燃性流体による危険な帯電・放電を防止するもので、静電気対策用ホースとしては、そのオンリーワンな機能から認知度が徐々に高まり、サンプルの要請をはじめ採用事例も増えつつある。また、昨年より販売を開始したホース・チューブ製品とセットで販売する専用継手の拡販も強化。「積層チューブ専用樹脂コネクター」「導電スーパー柔軟フッ素スプリングフェルール継手加締品」「柔軟フッ素ホースシリーズ・フェルール継手加締品電解研磨仕上げ」「エイトロックフェルール・PFAライニング」など4つの新シリーズを展開しており、いずれの製品も問い合わせが増加、特に導電シリーズにおいては、その特性が必要となるユーザーにとっての必須アイテムでもあり、ジョイントセット品の引き合いが多い。全体的に最近の販売傾向としてホースと専用継手のセット販売が増加しており、他メーカーのジョイントを継続使用することによるホースの抜け、漏れ、破損・破裂など、不具合の抑制に向けた〝ユーザーの安心・安全意識〟の表れと同社では見ている。

今後の販売強化に向けた施策の一つとしては、WEBやホームページを活用した拡販にさらに注力。情報発信の手段についてもさらに変化していくと思われる昨今、同社としてはバーチャル展示会などの取り組みについても検討を始めている。近年では、WEBを通じた問い合わせは国内だけではなく海外からも増加しており、同社としては出張による営業活動を控えている中、こうした海外需要も積極的に取り込んでいく考え。

一方、社内における新型コロナ対策としては、時差出勤を継続実施。7月まではテレワークも導入していたが、現在は、これまで応接室や会議室として使用していたスペースを活用して〝3密〟を回避し、WEB会議および打ち合わせのための社内ネットワークを構築。さらに社員の感染予防と体調管理に配慮しながら、同社では一層の業務の効率化を図っていく。