日本自動車タイヤ協会
2021年自動車タイヤ国内需要見通し
上期が明暗分ける
コロナ影響から失地回復へ
日本自動車タイヤ協会(JATMA、東正浩会長)は12月11日、オンライン方式によって記者会見を行い「2021年自動車タイヤ国内需要見通し」について発表した。倉田健児専務理事、統計調査部会の塩見孝彦部会長が出席。会見の冒頭、倉田専務理事が「今回の自動車タイヤの需要見通しについては、2021年はコロナ禍からの回復を見越しているという期待値も織り込んでいる。成長率については、コロナ禍による影響が来年も残るという可能性も前提に置いており、修正もありうることを念頭に置いてほしい。来年の見通しは不透明であり、現段階での情報を基に割り出した予測であり、大幅な修正を余儀なくされる事態は起こらないように願っている」と前置きした。
JATMAの国内四輪需要見通しでは、四輪車用の合計は前年比5・0%増の1億407万3000本。内訳は乗用車用が同6・0%増の8018万2000本、小形トラック用が同2・0%増の1762万3000本、トラック・バス用が同4・0%増の626万8000本。乗用車全体に特殊車両用、二輪車用を合わせた合計が同5・0%増の1億747万5000本。「コロナ禍による需要へのダメージは20年の上期に大きかったことから、21年の上期が通常に近いレベルで推移すれば、大きく回復できるものとみている。下期も現状の水準を維持することができれば上向く期待は一段と大きくなる」(倉田専務理事)。
21年の四輪車用すべての新車用タイヤの需要見通しは前年比7・0%増の3908万9000本。市販用については夏冬合わせて同4・0%増の6498万本。21年の経済・自動車生産動向の背景としては、国内の実質経済成長率の21年の見通しを2・0%(20年は5・3%のマイナス成長見込み)と推定、自動車生産台数を前年比7・0%増の865万4000台、国内販売台数を同6・0%増の486万9000台、輸出台数を同8・0%増の414万台と設定した。こうした環境にあって、新車用タイヤ需要動向においては、20年に自動車生産台数が前年を大きく下回る半面、21年はそれを巻き返し、自動車生産台数が前年を上回るものと見ており、乗用車用で同8・0%増の3329万9000本、小形トラック用で同3・0%増の460万9000本、トラック・バス用で同4・0%増の118万1000本と算定し、四輪車全体でも同7・0%増の3908万9000本と当て込んだ。
市販用タイヤにおける販社販売需要動向については、夏用タイヤでは20年が主に新型コロナウイルス感染症の影響によって四輪車用計で同10㌽減と停滞に見舞われているという見込みを重視。そうした要因も加味して21年は増加へ転じる状況を前提としており、四輪車用計で同4・0%増の4400万8000本と見通した。「リーマンショックによる景気低迷時の際もリプレイスタイヤの需要は落ち込んだが、現代社会で自動車が果たす役割の大きさを考えると、今回も順調に回復していくだろう」(同)。
冬用タイヤについては、夏用と同様の要因により、四輪車用計において20年は同13・0%減の2023万6000本という2ケタの落ち込みに見舞われると予測しているが、21年においては、2年続いた減少から増加へと転じるものと見ている。暖冬による雪不足による需要の影響が、特に首都圏において懸念されているが、需要予測ではそういった懸念材料は織り込み済みで、今回はプラスマイナス要因としてコロナ禍によってもたらされる影響度があまりにも大きく、その動向が需要を見通す主要な物差しとなった。
「市販用タイヤに関しては、夏冬タイヤとも同じような環境の中で需要が動くものと見ており、20年の落ち込みを21年に取り戻すという失地回復の様相を見せている。海外ではワクチン接種も始まった状況にあり、効果が見いだされれば経済回復に向けたムードも盛り上がる。国内からの輸出に対する期待も膨らみ、全体的に上向くのではないかと見ている」(同)と期待度の高さを示した。