2020年12月25日

ミシュラン
スタートアップ企業と提携

画期的な廃プラリサイクル技術で

ミシュラン(フロラン・メネゴーCEO)は、カナダのスタートアップ企業であるパイロウェーブ(ジョセリン・デュセCEO)と提携し、画期的な廃プラスチックリサイクル技術の市場投入を急ぐ。この技術が工業化されることで、タイヤだけでなくほかの産業でも持続可能な材料を増やすことが可能となる。

パイロウェーブが開発した技術により、食品容器や家電の緩衝包装材、断熱建材から、タイヤや合成ゴムその他多くの製品の製造に使用されているリサイクルスチレンモノマーを抽出することができる。パイロウェーブが開発した独自の技術では、マイクロ波で廃プラスチックを処理しプラスチックを再生する。従来の発電付焼却等による熱エネルギーを回収・利用のサーマルリサイクルとは異なり、電気を使用して廃プラスチックを高品質の原材料に再資源化することができる。化石原料からバージン素材を製造する代替えとして、現状では脱炭素化への最も効率の良いエネルギー形態で、ミシュランとパイロウェーブの共同開発契約により、プラスチックの循環型経済に新しいバリューチェーンが生まれ、自動車、電子機器、タイヤの分野において再生プラスチックによる新包装や新製品の設計が可能となる。両社は今後数カ月、国際市場での認証と事業化を視野に入れ、パイロウェーブ技術の迅速な工業化を目指す。共同開発に向けての投資は、最終的に2000万ユーロ(約25億2100万円)以上となる予定。ミシュランはパイロウェーブと協働し、2023年までに工業試作品の開発を目指す。1年間の評価で、ミシュランは、リサイクルスチレンを原料としたサンプルタイヤを検証。このポリマー再生プロセスは、ミシュランの戦略的ビジョンである〝すべてを持続可能に〟と一致している。

今回の提携は、ミシュランの持続可能戦略を代表する実例。今後さらに持続可能な材料でタイヤを製造し、こうした技術を革新的なリサイクルチャネルで活用できるよう取り組んでいく。パイロウェーブの技術の可能性を信じ、ミシュランが持つ多くのビジョンを共有させていく。

パイロウェーブのデュセCEOは「この提携はミシュランの専門知識と高い技術を活用し、商用化に向け動き出したことを意味する。この戦略的提携は、化学的プロセス電化の魅力と将来性において、環境面・事業性の両面でバリューチェーンのグローバルプレーヤーに影響をもたらすと考えている。私たちは将来の材料を持続可能な方法で変革することを視野に入れ、革新的な技術を開発していく」と今後に向けての抱負を述べている。

パイロウェーブは、二酸化炭素排出量の少ないマイクロ波を使用した化学プロセス電化のパイオニアで、マイクロ波プラスチックリサイクルの循環型経済のリーダーでもあり、消費者が使用した後に回収されるポストコンシューマーおよびポストインダストリアルプラスチックを新しいプラスチックに復元し、資源の価値を最大限に高める。特許取得済みの高出力マイクロ波接触解重合技術プラットフォームは世界の最先端であり、新世代プラスチックの最前線に位置する。パイロウェーブ技術は、プラスチックを未使用の材料と同じ分子状態に復元することで、プラスチックの無限のリサイクルを実現。プラスチックのリサイクルという世界的な課題に対応する循環型経済へソリューションを提供する。