2020年12月25日

帝人
上海エナジー社と包括的ライセンス契約締結

帝人(鈴木純社長)は、中国上海市に本社を構える上海恩捷新材料科技股份(李暁明董事長、以下、上海エナジー社)との間で、リチウムイオン二次電池(LiB)に使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する包括的な技術ライセンス契約を締結した。

近年世界的な環境規制強化を背景に、電気自動車(EV)の普及が加速、安全で長距離走行に耐え得るLiBの需要が急速に拡大している。こうした中、帝人は昨年11月、世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力を持つ上海エナジー社との間で、車載用LiBに使用されるフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を結んだ。この契約を基に、帝人のコーティング技術と上海エナジー社の基材生産能力およびコスト競争力とを融合して生産されるセパレータは、顧客から高い評価を得ており、市場ニーズの高さが確認されている。

こうした状況を受け、上海エナジー社とのライセンス契約を一層充実させ、対象用途を広げることでさらに幅広い需要にこたえられると考え、今回の契約締結に至った。

今回の契約で対象となるのはフッ素系化合物のコーティングセパレータに、アラミドのコーティングセパレータを加えた帝人保有の溶剤系セパレータ関連の特許。耐熱性に優れるアラミドのコーティングセパレータを対象として追加することで、より安全性に優れるセパレータを実現可能とする。今回の契約で対象となる用途は従来の車載用に加え、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコンなどの電子機器用や電力貯蔵システム用など。

また、今回のライセンス契約とともに締結した開発受託契約によって、帝人は上海エナジー社からコーティングセパレータに関する開発業務の一部を受託し、さらに高容量で安全性に優れるLiBの実現に向けてセパレータを開発していくこととなる。

今後帝人は今回の契約締結を足掛かりにEV、電子機器、電力貯蔵システム等の用途に求められるLiBの実現に向けてセパレータの開発を積み重ね、市場におけるプレゼンスの向上を目指すとともに、顧客が上海エナジー社に求める機能性や安全性を満たすべくコーティング技術を提供し続けることで、溶剤系コーティングセパレータの市場においてシェア向上を図っていく。