2020年2月15日

ブリヂストン
国内市場におけるタイヤソリューションの取り組み

T&DPaaSの概要説明
新製品3種も発表

ブリヂストン(津谷正明CEO)は1月31日、東京都港区のブリヂストングローバル研修センターにおいて「2020年ブリヂストンタイヤソリューションの取り組み~トラック用タイヤ新商品発表会」を開催した。ブリヂストンT&DPaaSの概要、国内市場におけるタイヤソリューションの取り組みについての説明を行ったほか、3月から発売するトラック・バス用のオールシーズンタイヤ「M888」、低燃費タイヤ「エコピアM801Ⅱ」、超扁平シングルタイヤ「グレイテックM829」を発表した。

発表会には、ブリヂストンのT&DPaaS企画担当の高城知行執行役員、ブリヂストンタイヤジャパンの生産財タイヤソリューションビジネス開発本部長の末松聡執行役員が出席。まずは高城執行役員がブリヂストンT&DPaaSに関するプレゼンテーションを行った。高城執行役員はT&DPaaSのネーミングに盛り込まれた意味について「タイヤの頭文字のTと当社が展開する多角化事業(ダイバーシティード プロダクツ)の頭文字を用いている。ブリヂストンタイヤ&ダイバーシティード プロダクツ・アズ・ア・ソリューション(T&DPaaS)は、当社が提供する独自のソリューションプラットホームの考え方であり、トラック用タイヤの新商品発表に先立って概要を紹介させて頂きたい」と前置きした。ここでプロジェクターによるショートムービーに切り替わり「世界の移動革命を実現するために、ブリヂストンは移動ソリューション・コントリビューターへと進化し、止まることのない物流をタイヤのデジタル管理で支えていく」という方向性を明確化。引き続き高城執行役員が「ブリヂストンT&DPaaSの全体図としては、断トツの商品と断トツのサービスをデジタルでつなぎ、断トツのサービスネットワークを通じて断トツのソリューションを提供する。それによって社会・顧客・パートナーの皆さんと新たな価値を共創していく。モビリティの進化によってタイヤに求められる価値は多様化していく。それらの困り事に対応するさまざまな断トツの商品を独自のイノベーションによって提供していくことで進化するあらゆるモビリティを支えていきたい。断トツのサービスについては、トラック用タイヤでおなじみのリトレッドがある。故障のない状態の良い使用済みタイヤの摩耗した路面と接する部分を張り替えて再利用するサービスで、新品タイヤとの比較では原材料の使用量が3分の1以下で済むため、CO2の削減につながるだけではなく資源生産性の向上にも大きく貢献する」とその展望と意義について述べた。ブリヂストンでは、2007年に米国バンダグ社を買収し、グローバルにリトレッドビジネスを展開している。

「こういった断トツの商品とサービスをお客様に提供するためには、高品質なサービスネットワークとジャストインタイムでのサービス展開が不可欠となる。ブリヂストングループには、さまざまなモビリティ形態に対応できるグローバルに広がる断トツのサービスネットワークがある。顧客に近い場所で商品サービスのソリューションパッケージにより社会価値・顧客価値の具現化を図っていく。全世界において乗用車系で約9000店、乗用車系では約3500店のサービスネットワークを保有しており、既存のサービスネットワーク網を将来のCASE、MaaS社会の実現を支えるべくサービス内容を変革していく」と今後の展開について説明した。

引き続き、末松執行役員が国内市場におけるタイヤソリューションの取り組みについて説明。「国内輸送業界の現状と解決に向けた取り組みとしては、当社ではブリヂストンT&DPaaSの考え方に沿ったソリューションサービスによって物流の安定した移動を足元から支えることでダウンタイムが起こり得ない世界をつくっていきたい」と構想について語った。

ブリヂストンの認識では、国内輸送業界では、その9割をトラックに依存しており、トラック輸送においては、深刻なドライバー不足や整備者不足に悩まされている。ネット販売の普及により宅配件数が増加しており、物流業界においては物流の効率化が不可欠な状況に直面。このトラック輸送における課題に対して、安全安心や環境負荷低減といった社会的価値、業務効率化、経費削減といった顧客価値を高める目的から、同社では以前よりタイヤソリューションという考え方で安全安心の輸送をはじめ、輸送業界における安定した移動を足元から支えてきた。「タイヤソリューションとは当社独自の商品やサービス、ネットワークを組み合わせ、輸送事業者が抱える課題に合わせてカスタマイズし、最適な組み合わせを提供するもので、基本的な考え方はブリヂストンT&DPaaSと合致している。一例としては、輸送事業者におけるタイヤ関連業務を一括してお任せ願うことで、安全安心な運行や業務効率化のお手伝いをさせて頂くトータルパッケージプランがある。昨年末時点で約700社の輸送業者に賛同を頂いており、年々拡大が進んでいる。具体的なそれらのソリューションの要素としては、サービスは現場で確認してローテーションや交換時期をアドバイスし、デジタル化データの蓄積によって点検データに基づく効率的なタイヤマネージメントにつなげている。また輸送事業者で万が一のトラブルが発生した際、当社独自のサービスネットワーク網を全国に展開しており、登録車両に対して24時間トラブルの迅速な復旧を行っている。基盤となる商品については、安全安心・経済性・環境性をベースに日本特有の天候や道路状況、車両の型式や使用方法に合わせて最適なラインアップを準備している」と述べた後、運送事業者のニーズにこたえる〝断トツ商品としての〟タイヤ新製品3種類の特長についても説明した。一般・高速道路など幅広く走行する顧客向けにはM888を用意し、摩耗寿命向上による経費削減に貢献。リトレッドによって資源の有効活用でも効果を発揮する。高速道路主体の顧客向けには、低燃費性能を追求したエコピアM801をラインアップ。新たな領域での提案としては、リアタイヤ2本をシングル化することによって輸送効率向上に図ったグレイテックM829を提案する。部品点数削減による軽量化、メンテナンス工数削減によって顧客への利益をもたらす(商品の詳細は次号)。