2020年1月10日

十川ゴム
インタビュー

会社自体の進化果たす
培ってきた技術力と現場力で貢献

十川ゴム 十川 利男社長

【昨年を振り返って】
 国内経済においては、自動車産業が伸び悩むなど経済の停滞感が漂い始めている。当社としても、昨年秋口までは一定水準の受注を得たことで売上高、利益とも前年同期の実績を上回っていたが、この第4四半期からは、各分野の停滞によるさまざまな影響が出てくると見ており、厳しい見通しを立てている。特に自動車分野の伸び悩みによって受ける影響は大きいと予測しており、そうした覚悟の下で、最低でも現状のレベルは維持できるよう残りの3カ月間においても懸命な努力を続けていく。

【需要業界の動向については】
 今期の前半は比較的安定局面で推移しており、油圧機器産業用、一般機械産業用はいずれも好調を維持している。自動車産業用が下降気味で、ガス産業用については国内市場がマイナスであったものの、海外市場の好調によるカバーによって業績を伸ばした。異常気象により農作物への影響があり、農業用ホースは落ち込んだ。市況によって減速した製品分野を好調分野がカバーすることで、第2四半期までは前年同期並みを維持している。

【新製品・技術開発に向けての体制について】
 国内では住宅建造物自体がスマート化の流れにあり、電化も進むことから、ガス産業分野の市場拡大への期待感は薄い。自動車産業用の製品は、ニーズの変化や仕様の変更により、製品の品質に向けられる要請も厳しくなっていくことから、常に新しい技術開発への取り組みに力を注ぐ必要がある。これまでは、環境対応や品質向上に向けた技術開発が中心だったが、〝自動運転化〟など次世代の自動車性能に向けた品質向上への要請といった新たなニーズにもこたえていく。放熱材や電磁波シールドなどへも軸足を置き、バッテリー周りの部品に関する要請にもこたえる。当社の姿勢としては、個々のお客様と向き合い、それぞれの満足感を得ることによって高い信頼性を勝ち取ってきた。それによって取り扱う品種も増えていくが、小回りの利くメーカーとしての強みを前面に打ち出し、取り巻く時代の環境がどのような変化を遂げたとしても、これまで培ってきた技術力と現場力によってあらゆる業界に貢献していく。

【中国の紹興十川橡月交の状況については】
 好調に推移しており、今期(12月期)の決算では、売上高は前期比6~7%の増加が見込まれている。ただし人件費の上昇や部材費の高騰によって利益面は伸び悩んでおり、特に人件費高騰による影響は大きく、今回の収益面の重い足かせとなっている。日本への輸出向けの比率を抑え、地産地消で業績を伸ばす施策も計画通りに進んでいる。中国における現地の市況は悪化しているものの、ホースアセンブリー事業は堅調を維持しており、型物についても日本向け以外は業績を伸ばしている。

【人材確保とその育成は】
 インターンシップでは、人材候補を本社だけでなく工場にも招待することで、先輩となる現場の従業員とのコミュニケーションの促進が図られることによる効果の手ごたえを得ている。採用においては女性の割合も増えており、多い時は新入社員の半分近くを占める場合もある。技術職の女性も増えている。今後もきめ細かい人材確保に努めるとともに人材育成を含めたマネージメントを行うような組織としての発展も遂げていきたい。

【今後の見通しと展望について】
 現在の課題に対しては、生産現場の自動化や機械化などによって、一人当たりの生産性を高めていくほか、個人のスキルアップを図ることによって企業としての発展に臨んでいく。当社は本年で創業95周年を迎えるが、その先の100周年を見据えながら意識の変革を図り、必要な部分を残しながら変化が求められる部分は変えていく。設備や組織に限らず〝変化を遂げる〟という人間の意識が重要であり、大掛かりな仕掛けづくりを実施することなく、従業員一人ひとりの意識の改革が進むことで進化への目標は達成される。創業100周年の2025年には大阪万国博覧会も開かれ、日本中が新たな時代の幕開けのムードに包まれる。ドラスティックな変革ではなくても、イノベーション的な物事の新たな発想が行えるような人材によって構成された組織づくりを行うことで、会社自体の進化を果たしていきたい。