ゲイツ・ユニッタ・アジア
新春トップインタビュー
日本は成長領域土台多い
コロナ禍を乗り切り変革に挑む
【昨年を振り返って】
世界規模で災いをもたらした新型コロナウイルス感染症拡大による影響によって、停滞した経済情勢が当社の前半の業績にも大きなダメージを与えた。下期に入ってからは中国市場の回復ペースが想定外に早く、自動車産業の立ち直りが当社の業績にも反映されたことによって、前期比10%程度のダウン幅でとどまりそうな状況になっている。利益面についても、一般管理費の削減などといったコストダウンに向けた努力が成果を上げた。地域別では、日本市場が10%のマイナス幅で、隣国の韓国市場においても低迷しているが、こちらはコロナ禍以前から景気が低迷していた側面があり、今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響だけとは言い切れない面がある。中国市場の後半の回復ぶりには目を見張るものがあり、前年の実績を上回る勢いで伸びている。アジア諸国全体では、ロックダウンなどといった政府の緊急処置によって身動きが取れない状態に陥ったこともあり、下期に入ってからも今の景況感が解消されそうな気配はうかがえない。インドについても、コロナ禍による上半期の大きな影響を免れることはできず、混乱の渦に巻き込まれた。タイの自動車生産も生産水準が落ちており、国家的特性も作用してアフターマーケット市場も停滞気味にある。
【今期の見通しについては】
現在を取り巻く環境は、企業や人間の努力では制御し切れない事態にあり、事業自体を前に進めたい気持ちが強くあっても、事態の成り行きを見定めながら、うまく立ち回っていくしか手立てがない。事態が改善の兆しを見せたとしても、急激なリカバリーには期待できず、今がスタートラインに立ったという気持ちで、事態の収束に合わせて事業を本来の軌道に戻す。
その観点からみれば、日本市場は順調に上向く気配を見せており、今年の計画の中では期待感の高い位置付けにある。このほか一般産業用は中国が上向いており、半導体製造業も期待が持てるだろう。地政学的な観点では、経済動向は米中貿易摩擦の成り行きでも事情は変わってくるが、回復に向かうことで当社の今期の業績は数%単位で上向くのではないかとみている。
【明るい展望におけるエビデンスは】
アジア市場においては、中国市場の安定が維持できている限り、大きな下振れ懸念の材料は見当たらない。低迷していた工作機械も回復の兆しを見せているが、ここでも中国が大きなカギを握っている、ロボティクス業界についても、伸び悩んではいるものの降下率は小さく、設備投資の高まりとともに再び成長路線を取り戻すだろう。物流や運搬の分野もまだまだ伸び代を残している。自動車分野においては回復を遂げており、自動車向けの工場稼働率も以前の状態を取り戻した結果、フル稼働の状態が続いている。
【今後の課題と展望について】
アジア市場でのメーンプレーヤーの役割としては、中国とインドに託される部分が大きい。タイも加わってほしいところだが、期待できるほど前には進んでいない。日本市場においても包括的な評価は高く、成長領域としての土台は数多く見いだされている。ギヤチェーンからのベルトへの移行は、ユーザーのセレンディピティを満たす選択肢であるにもかかわらず、コミュニケーションの場を喪失することによって、それを説得する機会が失われている。数多くの件数が試算でき、変革に向けたチャンスであるにもかかわらず、コロナ禍によるコミュニケーションの束縛の壁が足かせになっており、次の段階に進むことができていない。新展開のVベルトについても一定の成果は引き出せているものの、同様の問題が計画のペースを鈍らせている。この課題が最も大きな痛手となっており、テレビ会議システムの活用などといった選択肢が選べるものの、アジア諸国ではそういった商慣習はまだまだ浸透しておらず、対面によるビジネスが深く根付いている。当社としては、今年もプロモーションをかけたい案件を数多く用意しており、何とか今のコロナ禍を乗り切り、よいものをどんどんアピールしていきたい。