2020年12月期決算発表
ブリヂストン
第3四半期から回復
生産販売活動を本格再開
ブリヂストン(石橋秀一CEO)は2月16日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。「COVID-19感染拡大により、市場全体が大きな打撃を受けたが、第3四半期から回復傾向が見られ、第4四半期に入ってからは回復傾向がより鮮明となった。COVID-19感染の再拡大による需要減少傾向は限定的にとどまり、TBを中心に需要回復基調が継続している」(同社)。当期の売上収益は前期比14・6%減の2兆9945億2400万円、調整後営業利益は同35・0%減の2229億3200万円、営業利益は同81・6%減の641億1400万円、税引前当期利益は同91・3%減の293億円、当期損益は233億100万円の損失(前期は2401億1100万円の利益)となった。
このような状況の下、各地域でのタイヤ需要回復をとらえるために、生産・販売活動を本格的に再開。第2四半期に一時休業を実施した工場についても全拠点で既に操業再開しており、稼働率を段階的に引き上げている。財務面では、徹底した経費・コストコントロールを継続。「経費コスト構造改革」における事業再編/生産拠点再編の推進を実施。今回の危機を中長期視点での改革の機会ととらえ、新たな経営体制での本質的競争力強化に着手。「稼ぐ力の再構築」に向けた経費・コスト構造改革を強力に推進している。
当期の調整後営業利益における増減要因については原材料の低価格化で550億円、売値・MIXで280億円、営業費950億円のプラス要因があったものの、COVID-19の影響による販売量の低下による1690億円が群を抜いて大きなマイナス要因となった。政府・当局の指示による直接的影響は、工場の操業停止により、当期間中の固定費として117億円、販売店などの営業停止期間中の固定費、イベント中止に係る費用として、イベントキャンセルにより損失となった。
地域セグメント別では、日本の売上収益は前期比16・9%減の7626億円、調整後営業利益は同40・6%減の646億円。乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤの販売本数が前年を大幅に下回った。
米州の売上収益は同15・3%減の1兆4079億円、調整後営業利益は同24・0%減の1399億円。北米タイヤ事業において乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤの販売が前年を下回った。
欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカの売上収益は同11・8%減の5643億円、調整後営業損益は176億円の損失(前期は150億円の利益)。欧州では、乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤの販売本数が前年を大幅に下回った。
中国・アジア・大洋州の売上収益は同14・7%減の3946億円、調整後営業利益は同32・0%減の246億円。乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤの販売本数が前年を大幅に下回った。
多角化事業については、売上収益5101億円、調整後営業利益97億円。このうち化工品事業の売上収益が2204億円、調整後営業損益は167億円の損失。米州多角化事業の売上収益は2217億円、調整後営業利益は256億円。同事業は堅調に推移したが、化工品事業における厳しい事業環境が継続している。
今期については売上収益を前期比0・5%増の3兆100億円、調整後営業利益は同16・6%増の2600億円、当期純利益は2610億円と見込んでいる。地域セグメントにおいて、すべてが増収増益を達成する見込みであり、全車種向けで2ケタ近い伸びを想定。「特にCOVID-19による大きな影響を受けたPC用が回復し、著しく伸びるものと期待している」(同)。配当については、調整後営業利益および当期損益が前回予想対比で大きく改善したことから、期末配当を1株当たり5円増配の60円とする予定。