2020年12月期決算発表
横浜ゴム
コロナ禍で各種対策
第4四半期利益は過去最高
横浜ゴム(山石昌孝社長)は2月19日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。
同社グループでは、中期経営計画「GD2020」に基づき、成長戦略と経営基盤強化に加え、設備投資およびコストの見直しによるキャッシュアウトの削減、機動的な資金調達による手元流動性の確保、役員・理事の月額報酬および管理職の給与の減額など、新型コロナウイルス感染症の影響に向けた各種対策を構築。地域、需要に応じた販促活動、増産対応に取り組んだ結果、第4四半期は利益面で過去最高益を記録するなど大きく回復した。同社の当期の連結売上収益は前期比12・3%減の5705億7200万円、事業利益は同26・6%減の367億9900万円、営業利益は同37・8%減の364億900万円、当期利益は同37・3%減の263億1200万円となり、昨年11月13日に公表した予想値を上回った。第3四半期から回復に転じており、第4四半期に入ると事業利ベースのQoQで販売量14億円、それに伴う製造原価6億円、固定費34億円がプラス要因として収益に貢献、過去最高益に一役買っている。
セグメント別では、タイヤの売上収益は同11・6%減の3992億200万円、事業利益は同22・2%減の239億8500万円。新車用タイヤは、第2四半期までの需要の減少が大きく、国内、海外ともに売上収益は前期を下回ったが、国内では第3四半期以降で緩やかに持ち直しつつあるほか、海外においても中国については前期を上回った。市販用タイヤも、第2四半期までの新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費活動の停滞の影響が大きく、売上収益は前期を下回ったものの、高付加価値商品の積極的な拡販など各種戦略を推進。国内では、第4四半期の冬用タイヤの販売が好調な伸びを見せた。
MB(マルチプル・ビジネス)の売上収益は同17・4%減の985億2500万円、事業利益は同54・1%減の38億2200万円。各事業において、新型コロナウイルス感染症の影響が継続し、ホース配管事業は第2四半期までの需要減少の影響が大きかった。工業資材事業では、国内、海外ともに売り上げが低調に推移。ハマタイト事業も、第2四半期までの需要の減少が大きかった。航空部品事業では、民需向け販売の減少が継続したことで振るわなかった。
ATGの売上収益は同8・0%減の650億9600万円、事業利益は同15・3%減の88億1200万円。農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤは、世界的な新型コロナウイルス感染拡大による需要減少があったものの、農機用タイヤのアフターマーケットに回復が見られたことで、第3四半期以降の売上収益は前年を上回った。
今期については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、低迷していた世界経済が緩やかに回復するものと予想。同社では、既存事業における強みの「深化」ならびに大変革時代のニーズにこたえる新しい価値の「探索」を通じて経営基盤強化に取り組んでいく。現時点における2021年度の業績見通しとしては、売上収益が前期比8・7%増の6200億円、事業利益が同35・9%増の500億円、営業利益が同38・7%増の505億円、当期利益は同31・1%増の345億円を見込んでいる。配当についても上方修正し、既に実施した中間配当の1株当たり32円に加え、期末配当は1株当たり32円を予定しており、年間で1株当たり64円の配当となる。