2021年3月25日

【ホース・チューブ・継手特集】十川ゴム
デジタルデータ駆使

“食”テーマに開発に注力

十川ゴムが手掛けるホース事業の2021年3月期の業績は、第3四半期(4―12月)のゴムホースの需要動向として、自動車産業用が前年同期比15%減、油圧機器産業用については、建機関係の中国向けは堅調な動きを示したものの国内向けが思わしくなかった。全体としては15%減、その他の産業用は累計で10%程度の減となっており、回復基調に転じた9月以降も4~8月にかけての落ち込みをカバーするような大きな変化には至らなかった。樹脂ホースは、農業・園芸産業用ホースの春先の落ち込みを下期にカバーできたことから、累計では前年並みとなった。家電産業用、住宅設備産業用も同様に前年並みだったが、食品機械産業用は若干の伸びを見せた。

今後に向けては物流面の問題がホース事業の課題として残されており、同社では顧客への安定した素早い配送に向けたアイデアを模索している。配送経路の短縮や発送方法の変更といったさまざまな自助努力を重ねてきたが、重量物でかさ張るホース類は、物流会社から敬遠される傾向にあり、その傾向は一段と上昇している。物流会社からの値上げ要請は後を絶たず、顧客への物流価格の一部負担の増額要求も余儀なくされている状況である。加えて、原材料価格の改定が、ほぼすべての原材料メーカーや薬品メーカーから打ち出されており、製品原価の押し上げにより、非常に厳しい状況に立たされている。

製品開発に向けては、IoT時代においてデジタルデータを駆使することによって、ホースを使うさまざまな顧客に対し、新たな機能や付加価値を備えた製品設計開発の提案を進めている。その一環として、ホース事業では“食”をテーマにした製品開発に注力している。現在は漁業・農業関係用のホース関連製品の開発に取り組むとともに、食品工場向け製品のラインアップの充実も図っている。また、これまで困難とされていた「特殊ケミカル系ホース」の開発にも取り組んでいる。この特殊ホースは既にユーザーによるフィールドテストや耐久性の確認試験を完了しており、本格販売に向けての準備を進めている。

現場主義の姿勢も、同社の強みを構成する要素の一つであり、顧客の要望に応じて、新しい市場に向けた製品展開も積極的に推進している。最近上市した製品では、潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)専用のドレン排水ガイドシステム(給湯器から側溝までを結ぶ専用チューブ・ドレンガイド・ホルダーで構成される)として、共用廊下で安全性および基本的な性能要求事項を満たす製品設計に基づいて開発した。このほか長寿命のディーゼルエンジン専用ホース「BFホース」は、建機メーカーを中心にディーゼル内燃機に採用されている。

ホース事業全体を見渡すと、昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大という大きなマイナス要因があったものの、下期に回復基調で推移している。自動車産業関係については、9月以降になって急速に回復基調をたどっており、原材料不足などの懸念が漂うほどの好調感があった。しかしながら、新たに半導体不足による自動車業界の減産という事態が浮上している。好調感に冷や水を浴びせられた様相となり、同社の通期の見通しにも影響が出そうな状況になっている。このほか国内経済の動きにはさまざまな種類の要因が影響しており、小さな浮き沈みが発生している。好調な分野に対しては明るい兆しがみられるものの、同社の20年度通期予想としては、10%程度の減を見込んでいる。

21年度のホース市場の見通しは前期よりは増加すると見込んではいるものの、コロナ禍以前の19年度の売上高ほどには届かないと予想している。